将来少し見えてから 各地に広がる30歳の「成人式」[news memo]

20歳の成人式が各地で荒れるというニュースは、毎年の風物詩のように伝えられる。

自分を振り返って見ても、20歳やそこらじゃ、オトナのオの字もわかりゃしない。だったら、30歳になって「成人式」をやればいいんじゃないかという発想。おもしろいな。

 【山下知子】仕事を一通り覚え、将来の道筋が何となく見え始める30歳。この時こそが真の大人の始まりだと捉えて、「成人式」を自主的に開く動きが広がっている。人と人とのつながりを広げ、街を盛り上げたい。主催者にはそんな思いがある。

30歳の成人式「三益式(みますしき)」が1月、熊本市で開かれ、約800人が集まった。活躍する30代を紹介したり、お世話になった人へ感謝の気持ちを伝える映像を流したり。懇親会では初対面同士が語り合った。

熊本市中心部で飲食店を営む松永哲典(あきのり)さん(30)ら、1982年生まれが中心となって始めた。「同級生から刺激を受け、節目の年に決意を新たにする場にもなった」という。政令指定市にはなったが、年々人通りが減っていると感じる。人を集めてつながりをつくり、地域の活性化につなげられないか。フェイスブックに専用ページを設けて参加者を募った。
(将来少し見えてから 各地に広がる30歳の「成人式」|朝日新聞 http://www.asahi.com/national/update/0316/SEB201303160002.html

ボクが30歳のときは、すでに父親が亡くなっていたので、実家と自分の進路をどうするかを決める瀬戸際だった。

とにかく家計をなんとかするために、家業を継ぐか、別の仕事で(出稼ぎのように)稼ぐかーー。結局は、ジリ貧だった商売を再生させる自信がなく、多少の伝手があったライティングおよび編集の仕事でその場をしのごうとした。要するに、逃げただけだったのだが。

ただ、10年前の20歳だったら、そんな現状認識すらもできなかっただろう。

もっといえば、ボクが「ジャズに絞って、書くことで生きていこう」と決心したのは、40歳を前にしたころのことだった。

自分の性格と武器を判断できるようになるのは、30歳でも早すぎるかもしれない。

でも、30歳くらいから、ある程度の選択肢を絞る作業は必要だ。というのは、40歳になると、絞る以前に自ずと選択肢が少なくなってしまうからだ。

ということは30歳の成人式、けっこう役に立つかもしれない。

そういえば、インタビューのときに山下洋輔さんが「30歳を過ぎたらジャズなんかできないよって先輩に言われてたんだけど、70歳になっちゃったな(笑)。でも、コルトレーンが自分のクァルテットを結成したのは34歳のとき」と言っていたのを思い出した。そして、「能の世界では90歳でもまだまだ現役。だから、80歳でも威張れなくて、70歳なんて小僧扱いなんだそうですよ」と笑っていた。