[ニュースクリップ]デジタル時代のJASRACの在り方について

 

JASRACがデジタル・コンテンツの著作権管理の在り方についてシンポジウムを開いたという記事が目に留まりました。

 

2887703473_654e560c4f_m photo by Edgar Barany

 
記事へのリンクはこちらから。

 

音楽のデジタル化時代に著作権管理団体はどうなる JASRACがシンポジウム – ITmedia ニュース



記事では……

 

包括許諾権が新規参入の障壁になっていると認めながら、利便性から今後も継続されるであろうこと、使用楽曲の把握のための技術には限界があること、独禁法に触れない割当で各著作権団体ごとの割り前を決めること、などを概略として挙げています。

ただ問題は、こうした団体側の理論では、デジタルのロングテール・モデルには対応できかねるという部分で、「売れ線だけを扱う事業者が出てきてしまう」ことを危惧しています。

この記事から受ける印象では、パイが減っているマーケットにおいて著作権管理事業者は新規の設備投資には消極的で、既存の収益源を死守するであることが予想されます。

また、既存の収益源には新規事業社が群がるため、そこで技術革新が発生するかもしれません。ただ、その技術革新はロングテールには魅力がないものになりそうですが。

福井健策弁護士(日本大学芸術学部 客員教授)の「例えば今後JASRACなどに著作権管理を信託しなくても、DRM(デジタル著作権管理)技術などによって著作者に自動で利益が振り込まれる仕組みもあり得るかもしれない。また、そもそも収益を上げる必要がない作品を著作権フリーにしてしまって解決するという道もあるかもしれない」という指摘は、かなり現実味があるように感じます。

とにかく、登録や査定に不透明感が否めないこの制度を抜本的に改革していくには第3極の動きが必要であることは確かなようで、システムが簡便になればアーティストの申請代行をする業者も参入しやすく、こうした壁が低い部分から制度が変化していく可能性もあるのではないかと思います。