リゲティの〈マカーブルの秘密〉は必見⁈

都響の公式YouTubeチャンネルで、期間限定公開だったリゲティの〈ヴァイオリン協奏曲〉と〈マカーブルの秘密〉が、好評につき無期限公開になっている。

パトリツィア・コパチンスカヤさんの超絶技巧はもちろん、〈マカーブルの秘密〉での演技もぜひチェックしておきたい(^^)v

クラシックTV「巨匠テリー・ライリー降臨!〜変わり続ける音〜」が残念だった件 [TVながら観memo]

Eテレのクラシックをテーマにした音楽番組「クラシックTV」で、現代音楽のリヴィング・レジェンドであるテリー・ライリーを特集するというので、期待して録画しておいたのだが、観てみるととても不満の残る内容でガッカリしてしまった。

20世紀を象徴するミニマル・ミュージックのオリジネーターで現役の彼が、2020年の日本公演中止をきっかけに日本在留していたことから、本人出演が叶ったという、好機を逃すことなく成立させた企画と言えるだけに、なぜこんな非道い編集にされてしまったのかと、憤りさえ感じる内容だった。

不満はなによりも本人の演奏と代表曲「in C」の合奏が、いずれも編集されていたこと。しかも無神経なつなぎ方で、だ。

この番組はタイトルを変える前(「ららら♪クラシック」)は欠かさずチェックしていたのだけれど、MC変更後に番組の方向性が怪しくなってきたと感じて録画をやめ、現在はほとんど観ていなかった。しかし、テリー・ライリー降臨ということでチェックしてみたわけだけれど、ボクが感じていた番組改変の悪癖は変わっていなかったということになる。

番組の主旨は、クラシック音楽のビギナーに贈る音楽教養エンターテイメント番組ということだが、聴きやすく曲を短くアレンジするならまだしも、即興の切り抜きやミニマルの雑なサマリーといった構成・編集では、とてもビギナーにテリー・ライリーの魅力を伝えることができるとは思えない。

せっかく豪華な演奏陣をそろえたにもかかわらず、それが活かされない収録なのだ。

彼らが我慢の限界まで繰り返しを行ない、それを超えたカタルシスに到達する喜びを共感するというところが、テリー・ライリーならではの作品あるいはコンセプトの魅力なのだから。

百歩譲って「切り貼りして伝えられる」と思ったとしたら、テリー・ライリーを超えるミニマリストの“作品”としてこの番組自体を評価したいところだ。

30分番組だから仕方ない、というなら2過で組むか、完全音源の別配布を考える、といったリスペクトがほしかった。

そう、リスペクトがないからこの番組、観なくなったんだっけ?

#音楽境地 SP #村上ポンタ秀一 45周年 観たよ

奇しくも命日の1日前に、録画していた「村上“ポンタ”秀一45周年 音楽境地SP」を観ました。

若いころの貴重な写真や演奏も楽しめたし、なんといっても人柄がよく出ていたインタヴューがよかったですね。

ボクも何度か取材をさせてもらったけど、なんともいえない魅力のある人でした。ダジャレにはついていけませんでしたが(^。^)

手元のインタヴューの書き起こし、まとめる時間を作りたいな。あ、佐山雅弘さんのもまだ手を付けられてなかったんだっけ。

ライヴ映像は2018年4月のもの。

NHK BS「夢の夜会は眠れない|演奏家編」という番組が録画されていたので観たら矢野顕子の凄さに改めて驚かされた

たぶんキーワードによるお任せ録画機能のせいで録れていたんだと思うけれど、コロナ禍で活動がままならないピアニスト3名が一堂に会することなくそれぞれの場所で「自らの人生で秘かに愛してきた名曲を」ピアノソロで披露するという30分番組。

辻井伸行の「春よ、来い」は平坦で残念。

矢野顕子はニューヨークのピアノ2台が置かれた部屋から。ベヒシュタインで奏でる「優しいあの子」が凄いことになっていた。やはり別格の発想ですね。一度、「エレクトーン」誌の取材でお会いしたことがあったけど、個性的な印象があります。

大西順子はアート・テイタムの採譜をしているというエピソードからの「スターダスト」。まだ彼女のなかにバド・パウエルほど入ってきていない感じだったけれど、これからが楽しみ。

https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=201&date=2020-11-14&ch=10&eid=6209&f=etc

2019年の晦日はフルトヴェングラーの第九で締めてみることにしました

年越し蕎麦はどうでもいいけど、年の暮れになにを聴くのかは音楽ライターにとって重要(笑)。

ちょうどフルトヴェングラーの第九が入った音源をゲットしていたので、聴いていました。

ラジオ用に収録した、交響曲4番から9番までというラインナップ。あ、ピアノ・コンチェルトとヴァイオリン・コンチェルトも入っています。

フルトヴェングラーは、たしかボクが最初に買ったベートーヴェンのLPレコードの指揮者。

第五とブランデンブルク協奏曲が収録されていたやつだったと思います。

そのすぐあとに、カラヤンが来日、ぜんぜん違う曲調で、びっくりした記憶がありますね。(観に行ったのではなく、FM放送で聴いていました。)

カラヤンはフルトヴェングラーのベルリンフィルハーモニー管弦楽団後任指揮者ですね。

緩急の解釈がまるで違うんですわ。それに、ティンパニーが異様にでかい(笑)。うねりもすごい。

そういえば、一昨年聴いたコバケンさんの第五(運命)を思い出したりしました。

おもしろい音源に当たった年の瀬でした。

MAREE New Album『SOUL BUTTERFLY』発売記念ライブ(2018年10月22日@JZ Brat)

シブヤのJZ Bratでメスカル・マリーゴールドっていうオリジナルのカクテルを飲んできちゃった。

ああ、あのお店でプログラムごとに考えて出しているやつね。

メスカル、美味しかったよ。

メスカルって、リュウゼツランを原料とした蒸留酒だったっけ? テキーラとか。

そう。

で、誰を当て込んだカクテルだったの?

MAREE ARAKYっていうヴォーカリスト。

どういう人?

2004年に“横浜 7 divas”という、横浜で活動している7人の女性ヴォーカリストで結成したユニットでデビューしてるんだよね。

翌2005年にはジャズボーカリスト新人賞も受賞してる。

日比谷公会堂でやってたやつね。

2017年にファースト・アルバム『ソウル・バタフライ』をリリースしたんだけど、このライヴは“発売記念ライヴツアー2018”っていう位置づけで、東京のあとに名古屋の得三と大阪のロイヤルホースを回る予定。

豪華なレコーディング・メンバーだったから、リリースから1年経っててもライヴが観られるのは嬉しいよね。

JZ Bratも月曜なのにほぼ満席だった。

どんなタイプのヴォーカリストなの?

ファンクをムリなく歌える、シッカリしたストレート・ヴォイスの歌い手、って感じかな。

ストレートな声質って、どんなのかよくわかんないよ〜

うーん、例えばファースト・セットでゲストのギラ・ジルカとデュオで歌ったんだけど、この2人って対照的な声質なんだなあって思った。

対照的?

“押す声”と“引く声”と言えばいいのかなぁ…

ちょっとなに言ってるのかわからないんですけれど(笑)

ギラさんの声から説明しましょう。

はい

彼女の声って、その昔にある民謡歌手が目の前のロウソクの火を消さないでロングトーンを出すことができるって話題になったりしたんだけど…

金沢明子さんね。

せっかくボカしたのに…

例えればそういうニュアンスの声質なんじゃないかと思うわけ。

で、MAREEさんは?

ロウソクつながりで例えれば、大山倍達が寸止めの手刀を繰り出しただけで火が消えてしまう、という感じかな。

(笑)

ライヴは、ファースト・セットはちょっと硬かったけど、セカンドからは一段とノリが良くなって、圧倒されちゃった。
ラストあたりはもう声が枯れちゃってたみたいで、それだけ出し切っちゃったんだろうね。

バックもスゴいメンツなんでしょ?

そうそう、ファンクって、ペラくてもいいみたいな意見もあるみたいだけど…

聞いたことないけどね(笑)

やっぱりズシッと厚みがないと、曲に負けちゃうと思う。

同意

その点、MAREEさんはアルバムで竹中俊二さんを中心に、アレンジから演奏のキモから凝りまくっているので、聴きごたえ十分だった。

アレンジもいいの?

特にスゲーと思ったのが「なごり雪」のカヴァー・アレンジ。

イルカさんもカヴァーした、伊勢正三さんが作ってかぐや姫が歌ったアレね。

そう、コードも少なくて展開にちょっと童謡っぽいとこがあるから、ジャズ側に引っ張ってこようとするとアレってなることが多いみたいなんだけど…

なんとなくわかる(笑)

竹中俊二アレンジはアレってなるのに、それがちゃんと着地しちゃうからスゴいと思っちゃうわけ。

へぇー

技あればこそ活きるパワー、ってことかな(^-^)

 

ジャズ・クバーナのネクスト・ジェネレーションが魅せるクール&パッション(アロルド・ロペス・ヌッサ・トリオ@丸の内コットンクラブ)

アロルド・ロペス・ヌッサのトリオ、怒濤のプレイだったよ〜

あれ? どこかで聞いたような名前

そうそう、ボクも「あれ〜?」って思ってたんだけど、やっぱりそうだった。

やっぱりって?

エルナン・ロペス・ヌッサの甥っ子なんだよね。

エルナン・ロペス・ヌッサって…

チューチョ・バルデスと並ぶジャズ・クバーナを代表するピアニスト。

そういえば、ウチの棚にアルバムがあったね。

うん。

甥っ子ってことは、第二世代ってこと?

うーん、チューチョ・バルデスが第一世代だとすると、エルナン・ロペス・ヌッサってその次のゴンサロ・ルバルカバと同じ世代じゃないかと思うんだよね。

調べても年齢不詳だから特定できないんだけど。

そうなると、第三世代ってことになるのかな。

で、ドラムをたたいていたのはアロルドの弟。

ベーシストは?

ベースのガストン・ホヤは、チューチョ・バルデスのバンドにいた人なんだって。といっても1983年ハバナ生まれというから、やっはり第三世代だよね。

ジャズ・クバーナって、いわゆるキューバン・ジャズってやつで、ガーッと弾きまくりのやつでしょ?

まあ、そういうイメージはあるよね。

ステージはどうだったの?

それがさぁ、ノリノリのリズミックな曲で始まるのかと思って身構えてたんだけど(笑)、見事に裏切られた〜

へ?

イントロはルバートで、徐々にリズムの輪郭が見えてくると加速していくという、良い意味で“一本調子”じゃない音楽性って感じだったんだ。

“一本調子”って、ラテンにありがちな「ノれればいいじゃん」的なやつね。あれはあれで、ライヴだと楽しいけど。

ラテンのオールド・スタイルなメロディもそのままじゃなくてモチーフとして織り込んだり、組曲風の展開だったり、とにかく“ラテンを俯瞰している感じ”が随所に感じられるステージだったな。

そうか、ラテンであることは強みにも弱みにもなりえるもんね。

彼が“超絶テクのピアニスト”というだけの紹介じゃなくて、“若手の実力派”と呼ばれているのがわかったね。

そういえば、アンコールが…

なになに?

「ルパン三世のテーマ」だったのでビックリ(笑)

 

本牧ジャズ祭秋の陣を見てきたよ〜

開港記念会館に行ってきた。

カイコウキネンカイカン?

横浜スタジアムのすぐ脇にある古い建物。ジャックという愛称で市民に親しまれているんだよね。

これ。

なにしに?

本牧ジャズ祭の「秋の陣」というイベントをやっていたので、ちょっと覗かせてもらいに行ったんだ。

本牧ジャズ祭って、前にも行ってたよね?

うん、三渓園の隣の本牧市民公園運動場でやっていたとき、観に行ったことがあったよね。確かトライソニック……じゃなかったハクエイキム・類家心平・カルテットを見たくて行ったから、2011年だったかな。

今年もその公園じゃなかったの?

いや、本牧ジャズ祭の野外開催は「ひとまずお休み」になっていて、いまはホールの企画で続けられている。

それでカイコウキネンカイカンなのね。

そういうこと。
なかはこんな感じ。

わぁ〜、雰囲気あるね〜。誰が出たの?

徳田雄一郎 RALYZZDIGという5ピースのバンド。リーダーの徳田雄一郎がサックスとヴォーカルも担当、鈴木直人がギター、柳隼一がピアノ、大垣知也がベース、柵木雄斗がドラムスという編成。

ジャズ・クインテットってこと?

それがね、違うんだ。ボクもこのチラシを見ただけ、ノーマークで行ったんだけど……。

あ〜、ジャズっぼいけどね(笑)。

いきなりギンギンのハード・フュージョンだったから、正直、ビックリした。

それって、本牧ジャズ祭っぽくないってこと?

いや、そういう意味では本牧ジャズ祭っぽいのかもね。でも、200席定員の会場が満席だったんだけど、ジャズ祭という触れ込みで集まったお客さんがどう反応するのかなとは思っていた。

徳田雄一郎のファンで埋め尽くされていたということ?

けっこう熱い声援が飛んでいたから、ファンも多かったみたいだけど、必ずしもそうとは言い切れなかったような気がする。本牧ジャズ祭自体を楽しみにしている人もいたみたいだしね。

ということは、許容できる、そういう音楽も含めて「ジャズ祭」を楽しめる人が来ていたということ?

初回が1981年ということだから、しっかりと「本牧ジャズ祭らしさ」が育っているということじゃないのかな。

それがこんな近距離の、趣があるホールで見れるなんて、贅沢だね〜。

それもジャズ祭の魅力のひとつになるかもね。とにかくボクはRALYZZDIGというバンドを体験できたのがとっても収穫だったし、彼らが世界で活躍しているのも納得しちゃった。

 


サックスとヴォーカルの2刀流でも魅せてくれた徳田雄一郎RALYZZDIG

 

 

 

トニー・アレン&ジェフ・ミルズはマニア心をくすぐるダンスのツボを押さえくるんじゃないでしょうか

 

注目度が高まっているアフロ・ビートを叩き出すドラマーのトニー・アレンが、エレクトロ・シーンのイノヴェーターであるジェフ・ミルズとプロジェクトをスタートさせたというニュースが届きました。

試聴はこちらからどうぞ。

「The Seed」トニー・アレン&ジェフ・ミルズ

 

エレクトロはユーロビートのマンネリズムを克服して先鋭化してきたという印象をもっていたのですが、ジャズのキャッチーな要素を上手く取り入れられるようになっているなという傾向があるように感じています。

スナーキー・パピーとか、ゴーゴー・ペンギンとか。

このトニー・アレンとジェフ・ミルズのサウンドも、同じ香りがしますね。

近々にフル・アルバムも聴けるようになると思いますので、追ってレポートしてみたいと思っています。