ず・ぼん16「出版社も図書館も消えるのか!?」沢辺均[reading memo]

これは、サービスを停止してしまった楽天の電子書籍サービスRabooを探していたときに見つけた無料の本だったと記憶してます。

電子化によって改めてその存在が問われるのが、出版社と図書館であるとして、そのうちの出版社に関する考察の部分。

編集者や出版社が「なくても成り立つ」というのは、ちょっと極論かなぁと思いますね。勝手に出版して流通もさせることが、紙の状態よりも簡単になったことは確かですが。

「編集者がその仕事でいくらとれるのか」
この視点は、いままで欠けていたものかもしれません。要するに、普通のサービス業になっただけと考えれば、それほどたいへんなことではないとは思うのですが…。

予算や採算性、損益分岐点というのが、いままでの出版界では不要なものとされ、それゆえに再販制度で守ってきたわけですが、販売不振とデジタル化という大きな波が同時に襲来してしまったことで、対応を迫られているといったところなのでしょうか。

それにしても、昔からの名編集者と呼ばれる人にも、流れを見る目や経済バランス感覚があったはず。それはいまさらデジタル化だからと言って持ち出す論点ではないようにも感じます。

実際に、出版社で権力をもっているのは編集長ではなく営業部長だったりしますし、稟議書のハンコの順番もそうなっていますから。

ということは、決済権限を与えられた編集長をどうやって育てるかがですね。

でも、名編集者から名プロデューサーへ昇格するには、簡単にはいかないかもしれません。

数年前、編集プロダクションの仕事で何人かの編集プロデューサーと名乗る人と会ったことがありますが、お付き合いしたくないタイプでしたからね〜。決裁権はかなり度量がないと自分の企画に対して冷静に行使できないんだなぁと思ったりした思い出があります。