漫画「ブラックジャックによろしく」をネットで商用・非商用に関わらず無料でダウンロードできるようにした漫画家の佐藤秀峰氏が、その経過について書いた記事がありました。
実はボクもダウンロードして楽しませてもらったのですが、もちろんそれによって料金は発生せず、著者には1円も入っていません。一部のダウンロード・サイトでは広告を貼ったものも見かけられましたので、あるいは若干の収益が発生したのかもしれませんが、いずれにしても本人曰く「僕が報酬をいただくことはありません」ということです。
ところが、この波及効果によって、著者はかなりの収益をあげていました。
先月末までの半年間の電子書籍関連の著作ロイヤリティを合計した所、¥37,045,934円ありました。
実に月額650万円、単行本印税に換算すると80万部のヒットに匹敵するというのです。
後半では、集英社、小学館、講談社のビッグ・スリーの漫画単行本売上を示しながら、すでに限界点以下に思える日本の漫画界の実情をあぶり出し、著者による著者のための著作物の作り方に関する持論を展開しています。
とても興味深い。
日本のフリーミアムのシーンはなかなかそのカラクリを構築するまでに至らず、バーターないしはスポンサード、もしくはボランティアのような曖昧な形で進んでいるという印象が強かったのですが、実践者が数字を示しながら語るようすを目の当たりにすると、旧弊に囚われている場合ではないぞという気がまたぞろ首をもたげてきます。