[ニュースクリップ]日本の音楽産業に求められるのは脱アイドルと真っ当なアルバム作りしかない

 

6111658754_b5b554e8b1_n photo by Indigo Skies Photography

 

2014年3月18日発表の国際レコード産業連盟(IFPI)の報告に、

昨年に続いて今年も世界が驚いたというニュース。

 

日本の音楽業界:低落基調に逆戻り | nippon.com
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記事では……

 

2013年の報告で音楽業界の世界的な凋落傾向が

ますます顕著になっていくなか、

日本だけが売上を伸ばして世界を驚かせていたのだけれど、

2014年の報告ではまったく逆、すなわち日本以外の

マーケットが売上を確保したのに対して、

「日本の音楽マーケットは前年比16.7%も縮小した」

としてまたまた世界を驚かせたというのだ。

 

記事では、日本の2012年の市場拡大

(すなわち2013年の報告対象)の要因は

1)AKB48等のアイドル・グループによるニッチ至上向けの

売上増(このマーケットはCDをキャラクター・グッズと

位置づけ、聴くためのツールとして扱っていないと分析)

2)一世代前の人気アーティストによるカムバック盤や

ベスト盤による特需

として、翌年の現象原因を 1)については触れず、

2)は人材不足による供給低下(出尽くし感?)と

分析している。

 

また、音楽市場半減の原因をポータブルな

デジタル・フォーマットへの転換が進んだためとしているが、

この点は議論の余地がありそうだ。

 

今後については、検索トレンドがAKB系から離れていることを挙げ

アイドル・バブルの到来は期待できないとしているが、

ももクロやきゃりーぱみゅぱみゅなどアーティストと

「メジャーでない作曲家やプロデューサーと組」むことで

一発当てることも可能であるという見解を示している。

 

文末に申し訳程度にスポティファイの日本進出に触れ、

この“黒船”が日本の音楽業界を変革するかもしれないことを

示唆しているが、残念ながら論証がないので希望的観測

の域を出ていない。

 

筆者のイアン・マーティン氏は、東京に拠点を置く

インディーズ・レーベルのオーナーで、2004年から日本で

イヴェントを開催するなど、日本の事情に通じている

はずなのだが、その人物をしても

「アイドル頼みはもう通用しない」

「マイナーでもプロデュース次第で金の鉱脈が

発掘できるかも」

といった一般論に終始するしかないのであれば、

やはり日本の音楽業界はかなり厳しい状況に

あると言わざるを得ない。

 

ただ、逆に考えれば、

CDをグッズとして見ないアイドル商法をやめ

ちゃんとした音楽作品として制作すること、

プロデューサー視点のマーケット・ニーズを把握した

企画を打ち出すこと、

が打開策となるわけだが、果たして業界は

これに応えられる余裕があるのかーー。

 

それが実は本質的な問題なのではないかという

気がしている。