あゝ無情

レ・ミゼラブル/Wikipedia

 

映画「レ・ミゼラブル」を観て来ました。まさに圧巻。圧倒されました。

原作は、ヴィクトル・ユゴーが1862年に出版した大河小説。

出版時、ナポレオン3世と対立して政界を追われ、祖国を追放されていた

ユゴーが、起死回生のためにこの物語を筆を折る覚悟で上梓し、

売れ行きを出版社に尋ねるために出した手紙が「?」だけだったという、

世界一短い手紙という逸話が残っているというのが、この本のこと。

 

ちなみに、青空文庫では無料で豊島与志雄訳・岩波文庫版を読むことが

できます。

 

この作品は、1980年にフランスでロック・オペラなどを手がけていた

クロード=ミシェル・シェーンベルクによってミュージカル化され、

パリで上演されました。

ちなみに、無調音楽を創始したことで知られるアルノルト・シェーンベルクは

彼の大伯父にあたるそうです。

 

これをもとにロンドンでの上演が計画され、1985年には、原作を知らずとも

楽しめる内容にアレンジされたミュージカル「レ・ミゼラブル」が完成しました。

 

日本でも1987年に帝国劇場で上演。世界で3番目という早さだったんですね。

今年も上演が予定されているそうです。

 

帝国劇場 ミュージカル『レ・ミゼラブル』

 

1957年にはジャン・ギャバン主演によりフランスで映画化。世界的な名作

と呼ばれている作品です。

1998年にはアメリカ映画でも映画化され、いずれもユゴーの原作に準じた脚本。

 

 

このたび公開された2012年版は、初のミュージカル原作による映画で、

イギリス映画となっています。

 

ミュージカル映画は予め歌を先に録音して、それに合わせて演技を

撮影する方法が一般的だったものが、この映画では演技と歌を

同時に行なうという方法をとっています。役者にとっても非常に

プレッシャーだったと、主演のヒュー・ジャックマンがインタビューで

語っていました。

 

 

「歌の力」を教えられる映画として、記憶に残る作品になっていると思います。

このトレイラーを見ると、感動が甦ってきてウルウルしちゃいます……(笑)。

 

そういえば、劇中歌の「夢やぶれて (I Dreamed a Dream)」は、

「聴いたことあるなぁ~」と思っている人も多いんじゃないでしょうか。

 

2008年にイギリスで放映されたテレビの公開オーディション番組

「ブリテンズ・ゴット・タレント」に出場し、その模様がYouTubeで世界に配信

されて注目を集めたスーザン・ボイルが歌った歌、ですね。

 

 

それにしても、「歌手になるのが夢なの!」と嬉々として語った後に歌うのが

「夢やぶれて」って……。これって、イギリス人特有のユーモアってやつかな?(笑)

 

ところで、ユゴー原作の『レ・ミゼラブル』は、明治時代に黒岩涙香によって

翻案されていました。タイトルは「噫無情(ああむじょう)」で、こちらの呼び方で

この一連の作品を認識している人も多いのではないでしょうか?

 

というか、ユゴーを思い出すよりも、アン・ルイスさんを思い出す人のほうが

多かったりして(笑)。

 

作詞を担当されたのが、湯川れい子さん。

この曲、1986年リリースなんですが、もしかして湯川さん、

イギリスのミュージカルの評判を聞いたか、もしかしてロンドンで

実際にミュージカルを見ていたか……。

 

そういえば、評伝が出ていましたっけ。本屋で見かけたのですが、

買いそこねていました。

目次を覗いてみると、「六本木心中」のくだりはあるようですが、

おそらく「あゝ無情」はないだろうな、と。

いや、いいんです。そんな、調べなくちゃいけないようなことじゃ、

ないんですから(笑)。