ジャズ・クバーナのネクスト・ジェネレーションが魅せるクール&パッション(アロルド・ロペス・ヌッサ・トリオ@丸の内コットンクラブ)

アロルド・ロペス・ヌッサのトリオ、怒濤のプレイだったよ〜
あれ? どこかで聞いたような名前
そうそう、ボクも「あれ〜?」って思ってたんだけど、やっぱりそうだった。
やっぱりって?
エルナン・ロペス・ヌッサの甥っ子なんだよね。
エルナン・ロペス・ヌッサって…
チューチョ・バルデスと並ぶジャズ・クバーナを代表するピアニスト。
そういえば、ウチの棚にアルバムがあったね。
うん。
甥っ子ってことは、第二世代ってこと?

うーん、チューチョ・バルデスが第一世代だとすると、エルナン・ロペス・ヌッサってその次のゴンサロ・ルバルカバと同じ世代じゃないかと思うんだよね。

調べても年齢不詳だから特定できないんだけど。

そうなると、第三世代ってことになるのかな。

で、ドラムをたたいていたのはアロルドの弟。

ベーシストは?
ベースのガストン・ホヤは、チューチョ・バルデスのバンドにいた人なんだって。といっても1983年ハバナ生まれというから、やっはり第三世代だよね。
ジャズ・クバーナって、いわゆるキューバン・ジャズってやつで、ガーッと弾きまくりのやつでしょ?
まあ、そういうイメージはあるよね。
ステージはどうだったの?
それがさぁ、ノリノリのリズミックな曲で始まるのかと思って身構えてたんだけど(笑)、見事に裏切られた〜
へ?
イントロはルバートで、徐々にリズムの輪郭が見えてくると加速していくという、良い意味で“一本調子”じゃない音楽性って感じだったんだ。
“一本調子”って、ラテンにありがちな「ノれればいいじゃん」的なやつね。あれはあれで、ライヴだと楽しいけど。
ラテンのオールド・スタイルなメロディもそのままじゃなくてモチーフとして織り込んだり、組曲風の展開だったり、とにかく“ラテンを俯瞰している感じ”が随所に感じられるステージだったな。
そうか、ラテンであることは強みにも弱みにもなりえるもんね。

彼が“超絶テクのピアニスト”というだけの紹介じゃなくて、“若手の実力派”と呼ばれているのがわかったね。

そういえば、アンコールが…

なになに?
「ルパン三世のテーマ」だったのでビックリ(笑)

 

オランダの現在進行形ジャズってジワる系なんだね〜(YURI HONING ACOUSTIC QUARTET@丸の内コットンクラブ)

ユリ・ホニング、良かったな〜。
うん。
オランダのジャズって?
もちろんひとくちでは言えないけど、“アコースティック・クァルテット”っていう触れ込みだから、想像しやすいかな。
でも、オランダと言えばキャンディ・ダルファーとか思い浮かべちゃうけど(笑)
ユリ・ホニングもサックスだけど、まったく逆のキャラクターだったね。
どんな人なの?
彫りの深いイケメン。1965年生まれみたいだから、53歳かな。
もう中堅とかじゃなくてベテランの域だね。
まあ、ファースト・アルバムをリリースしたのは1992年だし、パッ卜・メセニーやチャーリー・ヘイデン、ポール・ブレイなんかと共演してるし、オランダのグラミー賞と呼ばれる賞も受賞してるから、ヨーロッパ・ジャズの大物と表現してもいいんじゃないかな。
実際の演奏は?
オープナーはピアノのヴォルフェルト・ブレデローデが輪郭を滲ませたような背景を描いていくなかでユリのサックスが断片的なフレーズとコード感をちりばめていく、という感じ。
ふーん。
高原で靄の塊がサーッと目の前を通り過ぎていくイメージかな。
なるほど、ECMっぽいね。
ボクもそう思った(笑)。でも、インターバルを置かずに始まった次の曲ではしっかりとテンポ感があって、ぜんぜん別の景色、いや、別の物語に移ったということを意識させるんだ。
へえ。
曲のタイプはかなり違うのに、空気感が変わらないというか。
まさに靄の塊が通り過ぎて風景が入れ替わるような感じ。
上手いこと言うねぇ(笑)
ピアノもよかったけど、Gulli Gudmundssonも輪郭がクッキリした好みのベースだった。
え、誰?
ドラムスのJoost Lijbaatもそうだけど、読めないし、MCで紹介してても聞きとれないよね~(笑)
緊張感があるプレイなのに緊張しない空気が流れる、不思議なステージだったなぁ。