“娯楽”と“アート”の違いに関する橋口亮輔さんの指摘についてのメモ

 

映画監督の橋口亮輔氏へのロングインタビュー(「熱風」2017年1月号掲載)に興味深い発言があったので、共有したいと思います。

このインタビューで橋口氏は、宮台真司氏が橋口氏の監督作品「恋人たち」を評論したなかで、映画を観て「スカッとしたと感じるのは娯楽、観る前と後で自分が変わったと感じるのはアート」という趣旨の記述をしていることを引き合いに出していました。この指摘がとても興味深いですね。

これは「音楽」と言い換えても当てはまるのではないでしょうか。

また、作家性についてこのように表現しています。

(ヒットを出すと言うことは)儲かるか、儲からないか、カネを生むか、生まないかという判断基準のほうが、作品の質よの話より上になるだろうというのを如実に感じます。

そういうなかで長い間成功されている方は、自分のつくりたいもの、志向するものと、お客さんのニーズとが合っている幸福な作家ですよ。

作家性ばかりがとんがってしまうと、ついてこられないですからね。だからとんがって「俺はすごいことをやっている、描いているんだぞ」といくら言ってみたところで、観客がついてこられなければ、それはただの裸の王様になるわけですから。

やっぱりいつも作家が目指すのは、このとんがっているところというかな、いわゆる作家性と、ミドルグラウンドを観客と一緒に探して自分の作家性を貶めなくてもいける地点なんです。

 

エンタテインメントとアートの問題は、ジャズでも避けて通ることが出来ない問題点です。

この指摘は、ボクがこれまでモヤモヤしていた気持ちを、かなりすっきりさせてくれたものと言えます。