クラシックTV「巨匠テリー・ライリー降臨!〜変わり続ける音〜」が残念だった件 [TVながら観memo]

Eテレのクラシックをテーマにした音楽番組「クラシックTV」で、現代音楽のリヴィング・レジェンドであるテリー・ライリーを特集するというので、期待して録画しておいたのだが、観てみるととても不満の残る内容でガッカリしてしまった。

20世紀を象徴するミニマル・ミュージックのオリジネーターで現役の彼が、2020年の日本公演中止をきっかけに日本在留していたことから、本人出演が叶ったという、好機を逃すことなく成立させた企画と言えるだけに、なぜこんな非道い編集にされてしまったのかと、憤りさえ感じる内容だった。

不満はなによりも本人の演奏と代表曲「in C」の合奏が、いずれも編集されていたこと。しかも無神経なつなぎ方で、だ。

この番組はタイトルを変える前(「ららら♪クラシック」)は欠かさずチェックしていたのだけれど、MC変更後に番組の方向性が怪しくなってきたと感じて録画をやめ、現在はほとんど観ていなかった。しかし、テリー・ライリー降臨ということでチェックしてみたわけだけれど、ボクが感じていた番組改変の悪癖は変わっていなかったということになる。

番組の主旨は、クラシック音楽のビギナーに贈る音楽教養エンターテイメント番組ということだが、聴きやすく曲を短くアレンジするならまだしも、即興の切り抜きやミニマルの雑なサマリーといった構成・編集では、とてもビギナーにテリー・ライリーの魅力を伝えることができるとは思えない。

せっかく豪華な演奏陣をそろえたにもかかわらず、それが活かされない収録なのだ。

彼らが我慢の限界まで繰り返しを行ない、それを超えたカタルシスに到達する喜びを共感するというところが、テリー・ライリーならではの作品あるいはコンセプトの魅力なのだから。

百歩譲って「切り貼りして伝えられる」と思ったとしたら、テリー・ライリーを超えるミニマリストの“作品”としてこの番組自体を評価したいところだ。

30分番組だから仕方ない、というなら2過で組むか、完全音源の別配布を考える、といったリスペクトがほしかった。

そう、リスペクトがないからこの番組、観なくなったんだっけ?