静岡・楽団の楽器水浸し事故の続報

2022年9月に起きた静岡・裾野市市民文化センターで発生したスプリンクラー誤作動による楽団員の楽器水浸し事故について、は、当ブログでも取り上げました。

その補償についてはすったもんだしていたようなのですが、進展があったようです。

事故調査委員会は「原因を特定できなかった」と結論づけましたが、裾野市の村田悠市長は楽団に対し和解金を支払うために協議を申し入れる考えを明らかにしました。

これまで裾野市側は過失を認めない姿勢を取り続けていたようで、事故調査委員会が「原因不明」としたことで幕引きになるかと思われましたが、急遽、市長が非を認めるかたちで和解を進めるということになったようです。

これが解決ではなく、どのように和解案を固めていくのかも注視していく必要があります。

ホールというハコモノの運営と文化創造の姿勢の関係性についての重大な案件だと思いますので、また続報を追っていきたいと思います。

「デュオというセッションを進化させた10年目の邂逅〜『After The Rain』評」という記事をYahoo!ニュース個人にアップしました!

富澤えいちの執筆担当記事の紹介です。

「【ジャズの“名盤”ってナンだ?】#015 ヘイトのない世界を考えるための時を超えたメッセージ~ジョー・パス『ヴァーチュオーゾ』編」という記事がヤマハWeb音遊人にアップされています!

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美野春樹ピアノ・トリオ『レイニー・ジャズ』のディスク・レヴューが「jazzLife」2023年7月号に掲載されています!

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藤井郷子『トレント』のディスク・レヴューが「jazzLife」2023年7月号に掲載されています!

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クラシックTV「巨匠テリー・ライリー降臨!〜変わり続ける音〜」が残念だった件 [TVながら観memo]

Eテレのクラシックをテーマにした音楽番組「クラシックTV」で、現代音楽のリヴィング・レジェンドであるテリー・ライリーを特集するというので、期待して録画しておいたのだが、観てみるととても不満の残る内容でガッカリしてしまった。

20世紀を象徴するミニマル・ミュージックのオリジネーターで現役の彼が、2020年の日本公演中止をきっかけに日本在留していたことから、本人出演が叶ったという、好機を逃すことなく成立させた企画と言えるだけに、なぜこんな非道い編集にされてしまったのかと、憤りさえ感じる内容だった。

不満はなによりも本人の演奏と代表曲「in C」の合奏が、いずれも編集されていたこと。しかも無神経なつなぎ方で、だ。

この番組はタイトルを変える前(「ららら♪クラシック」)は欠かさずチェックしていたのだけれど、MC変更後に番組の方向性が怪しくなってきたと感じて録画をやめ、現在はほとんど観ていなかった。しかし、テリー・ライリー降臨ということでチェックしてみたわけだけれど、ボクが感じていた番組改変の悪癖は変わっていなかったということになる。

番組の主旨は、クラシック音楽のビギナーに贈る音楽教養エンターテイメント番組ということだが、聴きやすく曲を短くアレンジするならまだしも、即興の切り抜きやミニマルの雑なサマリーといった構成・編集では、とてもビギナーにテリー・ライリーの魅力を伝えることができるとは思えない。

せっかく豪華な演奏陣をそろえたにもかかわらず、それが活かされない収録なのだ。

彼らが我慢の限界まで繰り返しを行ない、それを超えたカタルシスに到達する喜びを共感するというところが、テリー・ライリーならではの作品あるいはコンセプトの魅力なのだから。

百歩譲って「切り貼りして伝えられる」と思ったとしたら、テリー・ライリーを超えるミニマリストの“作品”としてこの番組自体を評価したいところだ。

30分番組だから仕方ない、というなら2過で組むか、完全音源の別配布を考える、といったリスペクトがほしかった。

そう、リスペクトがないからこの番組、観なくなったんだっけ?

JASRACのDX 「KENDRIX」についての理事長の説明が詳細だったのでまとめてみた [Chat AET]

JASRACこと日本音楽著作権協力のニュースは、カラオケやBGMの使用料徴収ばかりが話題となっているきらいがある。

この記事では、業務のDX化に焦点をあて、JASRAC内で推進されている著作権管理に関する変革の内容を紹介している。

DX化には、それを必要とする課題が存在するわけで、すなわち JASRACが抱えていた問題もここでは明らかにされていることが興味深い。

JASRAC理事長伊澤一雅氏へのインタビューによって構成。

以下、記事をサマリーする。

前提

SNSやテクノロジー発展により「DIYクリエイター」が増加

その結果、著作権管理を十分に行えず、対価の還元が受けられていないクリエイターも増加

著作権管理を個人で行なうのは難しいというハードル

問題点

対価の還元に必要なのは、クリエイターと著作権管理団体が信託契約を結んで、団体が管理委託業務として楽曲使用者から使用料を徴収、クリエイターに分配するという仕組みを成立させること。

まず第一に、クリエイターが管理団体との契約を行えていないことが大きな問題。

次に、楽曲の無断利用やなりすましが(SNSやテクノロジーの発展の弊害として)増えている問題。これには、自分の曲だと証明することが難しくなっている(テクノロジーによって巧妙化している)問題と、なりすましや無断利をする輩の正体がSNSの特性上、匿名化することで追求しにくくなっている問題が併存じている。

また、個人クリエイターが著作権管理団体を通じて使用料の分配を受けられるという仕組みを知らないことも問題のひとつ。

KENDRIXの開発

プロアマを問わず、すべてのクリエイターが参加できるプラットフォーム。

楽曲の音源データをKENDRIXにアップロード→楽曲のダイジェスト機能をブロックチェーンに保存→存在証明ページの発行

KENDRIXからJASRACとの信託契約の締結も可能に(これまでの書類手続きがネット完結のeKYC=本人確認で可能に)。

附言

ブロックチェーンの登場は、著作権管理団体にとって脅威と言われていた。管理が自動化され、管理団体の仕事がなくなると恐れたからだ。

しかしJASRACでは、従来の業務にブロックチェーンなどのDX化をダイレクトに取り入れ/取り込むのではなく、別のスモールプロジェクトとしてスタートさせ、これまでJASRACを意識していなかった個人クリエイターなど若い世代を対象に、楽曲登録手続きを簡便にするツールとして開発を進めたことが、ローンチ成功の原因としている。

KENDRIXの成功は、JASRAC本体業務にも好影響を与え、今後は音楽著作権管理において、実現できていなかった公正な利益分配をより促進するエポックとなったようだ。

国境を越える問題などまだまだ解決すべきことは多いので、展開をウォッチしていきたい。