横浜みなとみらいに2万キャパの音楽アリーナ9月開業

おそらく東京オリンピックの改修・新築ムーブメントに乗っかったかたちで進められていたと思われる興業施設の竣工が、2023年秋ごろから盛んになってくるもようです。

Kアリーナは横浜みなとみらい21地区に登場する大規模複合施設で、地上9階とかなり大きなものが出現。

音楽に特化した施設となるようで、世界最大級の予定。

日産スタジアムや横浜アリーナとどう棲み分けていくのか注目したいところかな。

因みに“K”は担当デベロッパーのケン・コーポレーションの“K”なんでしょうね。

神戸にはジャズが似合うのか問題について考えてみる

読売新聞でこのところ「神戸とジャズ」に言及する文化部っぽい記事がいくつか目に止まったような気がしている。

具体的に何本とかリンクを探すつもりはないのであくまでも個人的な印象なのだけれど、おそらく観光の戦略として意図的に露出してきているのだと思っている。

この記事も“なぜ神戸?”と釣りタイトルを付けながら、本文ではほとんど答えていなかったりする。

まあ、井田一郎についての蘊蓄を傾けても、読者が喜ぶとは思えないので仕方のないことかもしれないが。

日本のジャズ事始めについては、神戸か横浜かという論争の検証をしたことがあり、確かに神戸に分があるという心証は得たものの、なにしろ資料が乏しかったりもするので、決定的ではなかった。明治時代の欧州航路で神戸も横浜もターミナル的な位置付けだったから、海外文化の窓口としてほぼ同時にジャズを受け容れ、ビジネス展開させていたのだと思う。

大阪に対する神戸と、東京に対する横浜は、双子のように文明開化の日本の新しいものを一時預かりするエリアとして機能していたんじゃないだろうか。

ただひとつ、神戸に分があるとすれば、確かにジャズが“似合う街”としての風景的なアドバンテージがあるところだろうか。神戸の、山を背負った“狭さ”が、ジャズというマニアックなテーマで周遊するのにちょうど良いし、それだけの“文化遺産”が記事でも紹介されているように、機能している。

クラファンもどうなるのか、神戸=ジャズの展開を楽しみにしたい。

“音楽のまちかわさき”からビッグなスターは誕生するのか⁉︎

Voicyで「ヤング日経」をチェックしていたら、日本経済新聞が報じた「ホリプロ、川崎にライブハウス 音楽のまちの両輪に」というニュースが目に止まりました。

このニュースはすでに2022年10月15日にリリースされていました。

株式会社ホリプロが、現在建設中の川崎の新しいライブハウスを来年2023年10月15日(日)にオープンすることを本日発表した。このライブハウスは「ホリプロ」として初のエンタメホールとなり、名称は新しい才能の開花という願いを込めた「SUPERNOVA」(読みはスペルノーヴァ)に決定した。

スペルノーヴァという500人規模のライブハウスなのですね。

スペルノーヴァとは、超新星。「大質量の恒星や近接連星系の白色矮星が起こす大規模な爆発(超新星爆発)によって輝く天体のこと」(超新星|Wikipedia

ホリプロがエンタメホールを手がけるとして、業界でも注目されていた事業が、いよいよ2023年10月15日にオープンするということです。

ホリプロの堀会長によれば、「一夜限りのイベントを行うような関わり方ではな」いとのこと。育成も含めてエンタメの発信地としての位置づけであることが期待されます。

立地も最高で、中央改札口から雨に濡れずに施設まで直行でき、屋上には芝生の広場も設置されるそうです。

多目的ホールがいくつかあるようですが、そのうちの大ホールは500人規模で、当初のホリプロの構想では場所は未定ながら1000人規模の演劇場を考えていたとか。そこへ川崎市の土地利用の話が舞い込んで、だったらとライブハウスへ路線編変更となったんですね。

ホリプロでは業務提携でAR(拡張現実)の新スポーツ「HADO」にも力を入れており、その“聖地”としての活用も視野に入れているみたいです。

隣接するミューザ川崎はクラシック音楽の拠点であるシンフォニーホールを有しています。

そこにもうひとつ、ポピュラー音楽の拠点ができることで、“音楽のまちかわさき”が質〜実〜ジャンルともに充実することも意味しているわけです。

その昔(1980年代後半から90年代前半)、日本のポップス界で一旗揚げようとしたバンドなどは、渋谷La.mamaになんとかエントリーしてファンを獲得して、通りの向こうにある渋公(旧・渋谷公会堂)でコンサートを開催、めざすは武道館──という“成功への階段”が(なんとなく)あったりしたのです。

“目標は具体的でなければ実現が難しい”のであれば、こうした具体的な“場”があることは、とても音楽エンタテインメント業界にとって期待できるものであると言えるはず。

川崎市、がんばってますね。

圧巻のサン=サーンス「幻想曲」を堪能したハープとヴァイオリンのマリアージュ[ライヴメモ2018年11月16日]

2018年11月16日に開催された東京文化会館小ホールのプラチナ・シリーズ 第3回公演「吉野直子&徳永二男」の感想メモを、会話形式にまとめ直してみました。


マスクん
マスクん

ハープとヴァイオリン、まさしく華麗なるサウンドの二重奏だったなあ

東京文化会館の小ホールで開催されたプラチナシリーズの第3弾、「吉野直子&徳永二男〜ハープとヴァイオリン、華麗なるデュオ〜」だね。

えいち
えいち
マスクん
マスクん

オーケストラでハープが入っていたりしたのは観たことがあったけど、こんなにクローズアップされたコンサートは初めてかな。

吉野直子さんのリーフレット掲載の紹介。
世界のハープ界で最も注目されている逸材。

えいち
えいち

ロンドンに生まれ、6歳よりロサンゼルスにて、スーザン・マクドナルド女史のもとでハープを学び始めた。1981年に第1回ローマ国際ハープ・コンクール第2位入賞。1985年には第9回イスラエル国際ハープ・コンクールに参加者中最年少の17歳で優勝した。

これまでに、ベルリン・フィル、イスラエル・フィル、チューリヒ・トーンハレ管、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、フィルハーモニア管、フィラデルフィア管、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスなどのオーケストラや、アーノンクール、メータ、ブーレーズ、ブロムシュテット、メニューイン、フリューベック・デ・ブルゴス、小澤征爾など、国内外の著名オーケストラや指揮者と共演を重ねている。リサイタルもニューヨーク、ウィーン、ロンドン、東京など世界の主要都市で数多く行っている。また、ザルツブルク、ルツェルン、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、マールボロ、セイジ・オザワ松本フェスティバルなど、世界の主要音楽祭にも度々招かれ、常に好評を博している。室内楽の交流も幅広く、ヴァイオリンのクレーメル、ヴィオラのV. ハーゲン、今井信子、チェロのC. ハーゲン、フルートのニコレ、ランパル、シュルツ、パユ、ホルンのバボラークなどと共演を重ねてきた。また、ハープの新作にも意欲的に取り組み、武満徹「そして、それが風であることを知った」、細川俊夫「ハープ協奏曲」、高橋悠冶「Insomnia」、マヤーニ「ソナタ第2番」など初演した作品は数多い。

レコーディング活動も活発で、これまでにテルデック、フィリップス、ソニー・クラシカル、ヴァージン・クラシックスなどからCDを発表している。2015年には、フランスのアパルテ (Aparté) からオーヴェルニュ室内管と共演した「ハープ協奏曲集」を発表した。また、自主レーベルのグラツィオーソ (grazioso) を創設して、5年計画の録音プロジェクトを開始。その第1作「ハープ・リサイタル~その多彩な響きと音楽」を2016年に、第2作「ハープ・リサイタル 2~ソナタ、組曲と変奏曲」を2017年に、第3作「ハープ・リサイタル 3~バッハ・モーツァルト・シューベルト・ブラームス 他」を2018年に発表し、いずれも非常に高い評価を受けている。

1985年アリオン賞、1987年村松賞、1988年芸術祭賞、1989年モービル音楽賞奨励賞、1991年文化庁芸術選奨文部大臣新人賞、エイボン女性芸術賞をそれぞれ受賞している。国際基督教大学卒業。

吉野直子オフィシャルサイト|バイオグラフィーより
マスクん
マスクん

キャリア30年超の第一人者なんだねー。

対する徳永二男さんは、長年NHK交響楽団のソロ・コンサートマスターを務め、在籍時には日本のヴァイオリン界の重鎮だよね。

えいち
えいち
マスクん
マスクん

この2人の、それもデュオを聴けるのは、かなり貴重だったんだよねー。

曲目
J.S.バッハ/グノー:アヴェ・マリア
シューベルト:ソナチネ第1番 ニ長調 D384
シューマン:アラベスク ハ長調 op.18(ハープ・ソロ)
シュポア:モーツァルトの《魔笛》の主題によるポプリ~ソナタ・コンチェルタンテ ニ長調 op.114より~
ミルシテイン:パガニーニアーナ(ヴァイオリン・ソロ)
ルニエ:黙想(ハープ・ソロ)
クライスラー:愛の喜び
マスネ:タイスの瞑想曲
サン=サーンス:幻想曲 イ長調 op.124~ヴァイオリンとハープのための~
【アンコール】
クライスラー:美しきロスマリン
クライスラー:愛の悲しみ

ハープとヴァイオリンで「アヴェ・マリア」や「タイスの瞑想曲」のナマを聴けるなんて、滅多にないよね。
ハープは主旋律のヴァイオリンをサポートするだけでなく、自らメロディと和音を重ねることのできる貴重な楽器だということもよくわかった。

えいち
えいち
マスクん
マスクん

ピアノというか、ギターみたいだね、それって。

まさにそんな感じがしたね。ただ、楽器の構造上、あれだけの大きさがあるのに、ヴォリュームが弱いんだ。それがハープの魅力的な音色にもつながっているんだけど。

えいち
えいち
マスクん
マスクん

音が直線的じゃなくて、包み込むような感じになるからなのかな。

そうだね。弦がむき出しで、全方向に音が発せられているからね。

えいち
えいち
マスクん
マスクん

音階は固定されてるの?

いや、確か、ペダル操作でクロマティックになってるはず。だから、上半身の優雅さに対して、足元がタンゴを踊るより激しいと例えられるみたいだね。当夜もそんな場面があったけど。

えいち
えいち
マスクん
マスクん

サン=サーンスの「幻想曲」が本編のラストだったんだ。

うん。圧巻だった。これを聴けただけでも、来た甲斐があったかな。

えいち
えいち