テイラー・スウィフトが新作『1989』の販売チャネルをTargetとiTunesのみに限定したというニュース。
テイラー・スウィフト、Spotifyから全アルバムを削除「音楽は無料であるべきではない」|The Huffington Post Japan
「無料じゃない」という話題は……
米アップル社がU2の新作『ソングズ・オブ・イノセンス』を5億人に無料配布したニュースが記憶に新しい。もっともアップルはU2側に1億ドルを支払っているそうなのだが。
テイラー・スウィフトのケースでは、「レコードレーベルがアルバムセールスを伸ばすためによく行う販売戦略の一環であり、「Windowing」と呼ばれている」もののようだ。
これを機に、テイラー・スウィフトは全アルバムをSpotifyから削除することを決めている。
今年の初めにウォール・ストリート・ジャーナルの論説に寄せた記事の中で、スウィフトはストリーミングとファイル共有サービスが、広告セールスの減少の原因になっていると語っている。「音楽は無料であるべきではないというのが私の意見。そして将来は、アーティストとレーベルが、アルバムの価格を決めるようになると私は思います」。彼女は2012年リリースのアルバム「Red」もSpotifyでの配信を数ヶ月遅らせていた。
スウィフトの作戦は、今のところ彼女の狙い通りになっているようだ。「1989」は第一週目の売上で記録破りのヒットとなっており、早期の予想では、「1989」は、アメリカの女性ソロアーティスト作品の第1週目売上記録を破り、2002年以降で最大の売上を記録するだろうと言われている。
伝えたい想いと価値観の重心の取り方は考え方次第だとは思うのだけれど、感触的にはSpotifyのフェーズと次のフェースを異なるものと考えたほうがいいのではないかと思うのだが。
無料でも販売促進が必要なフェースでは、みかん箱に乗って街頭で歌った昔のキャンペーンのように、とにかく「聴いてもらう」ことを目的とした行動も必要だろう。しかし、マネタイズのタイミングでは潔くチャネルを変更する。そうした戦略はブランディングと同様に適切かつ非情な判断が求められる。
一歩間違えばアーティスト人生を失いかねないリスクを伴うわけだが、Spotifyの在り方を含めてサスティナブルなアーティスト活動を確立するためには、考えなければならない問題なのではないだろうか。