楽器の“事故”に対する備えについて

静岡で9月末に起きたあるコンサートでの事故。

発端は9月24日の午後1時ごろ。

静岡県裾野市民文化センターで、1時間後に開演するコンサートのために、シンフォニエッタ静岡の楽団員たちがステージ上で準備をしていました。

すると突然、頭上のスプリンクラーからドバドバと水が噴き出してきたというのです。

当然、楽団員たちは大慌て。

滑って骨折したり怪我を負ったりしただけでなく、大事な大事な楽器もびしょ濡れになるといつた、甚大な被害を被ってしまったのです。

問題は現場ではなく管理で起きていた?!

このニュースが私のところ、つまり静岡のローカルニュースではなくて全国へ発信されるようになったのは、10月中旬のこと。2週間ほど経ってからとなりますね。

なぜ時間が経ってから話題になっているかというと、スプリンクラーが原因不明で作動して怪我人も出てコンサートが中止になっちゃったというトピックだけではないエピソードがクローズアップされてきたから。

この事故を事件にした問題点は、こちらの記事で整理されているのでご参照ください。

当初、人的以外の被害は「市の所有する音響や照明機器など1億5000万円あまり」と報道されていました。

巨額の市の管理財産が毀損された事故(もしくは事件)という論調であったわけです。

そこに「ちょっと待った!」と異を唱えたのが、出演した楽団側だったのです。

これには、オーケストラと呼ばれる楽団なら、その所有する楽器の総額が10億円規模であり、初期報道ではそれについての心配がまったくと言っていいほど抜け落ちていました。

これは往々にして、コンサートの契約は主催者(このケースでは裾野市)と楽団が交わしたもので、楽団員個人が所有する楽器などに対して被害の補償は及ばない」とするパワハラ的なジョーシキが罷りとおっているからだそうです。

学生時代からン千万円の“名器を所有している人たちが“、プロの楽団員”であることを考えると、修理代や代替、元々の“名器”の毀損分なども加味して、この事故だか事件だかの被害が「1億5000万円あまり」なんかではなく、主催者がその補償をあまり深く考えていないことが見えてきたのですね。

なお、裾野市やホールの指定管理者(市の委託を受けた民間事業者)から音沙汰がないために、シンフォニエッタ静岡は10月13日に会見を開き、「泣き寝入りしないため」に被害状況を訴えています。

楽器の保険について

そういえば私も、高額な楽器の保険なんて考えてみたことがなかったなと思い、調べてみると、、、

「動産総合保険」という損害保険のなかに、「楽器特約付帯」があるものを見付けました。

で、内容を見てみると、ホルンが5,490円(年払い一括)で70万円、チェロが30,480円(年払い一括)で300万円という保険金が出るというもの。もちろん、損害の程度によって保険金は割り引かれ、過失があれは支払われないこともあります。

日本音楽家ユニオンの楽器保険はもっと安く(リーズナブルと言ったほうがいいのかな?)、おそらくこれは掛け捨てみたいにして“見舞金”的に利用されているんじゃないでしょうか。

いずれにしても、プロが大枚をはたいて所有している“名器”を補償できるような保険が見当たりませんでした。

まぁきっと、こういうハイレベルな商品は個別対応なんでしょうね。