『かしむのなしは』は仙台がいかにジャズの揺り籠として貴重な都市だったかを記録に残した労作[読書memo]

2022年秋、ネットで流れてくる情報のなかに、仙台のジャズの歴史を綴った本が上梓されるというものがあった。

おもしろそうなのでポチろうと思ったが、ネットでは直接の購入ができないタイプのものだったので、仕方なく版元に問い合わせたら、仙台市内の書店での販売のみということがわかってきた(版元から直接は買えなかった)。

税込3,000円の本を仙台まで買いに行くのもオツだし、なにより定禅寺ジャズ・フェスティバルが開催されるタイミングだったから、一石二鳥の旅にできるかもしれないと画策したが、諸事情で断念。

そこで、その本が置いてあるという書店に凸電して、郵送か宅配はできないものかと尋ねてみると、支店間なら配送できるので、そちらの支店に注文してくれれば購入は可能だという答えが返ってきた。

ということで、最寄りの支店を探すと、横浜そごうにある紀伊國屋書店横浜店が見つかったので、出向いて注文&取り寄せ、一週間ほどで引き取りに再訪して入手、ということで読むことができるようになったのがこの本だ。

3,000円はちょっと高いかなと思ったが、ハードカバーで400頁超、写真も多いので、かなり努力されたことが伝わる造りになっていることが、手に取ってみてわかった。

「かしむ」は「むかし=昔」、「なしは」は「はなし=話」と、いわゆるバンドマンことばと呼ばれた倒置法を用いたもの。つまり、「昔の話」というタイトル。

杜の都・仙台に根ざしたジャズ文化のルーツを解き明かすとともに、終戦後の世界情勢を語るうえでも貴重な証言が盛り込まれた、文化人類学の資料と言っても過言ではない。

東京・上野で散歩しながら音のパブリックアートを楽しんでみた話

4月の、桜が終わったころの話で申し訳ないのですが、音のパブリックアートを実施しているというニュースを耳にして、体験してみました。

専用の無料アプリを使って、GPSと連動した狭いエリアのなかで、アーティストが作成した音楽を受信するという試み。

やってみたところ、なかなかおもしろかったです。

風景と音楽のマッチングは、ドライブとカーステ、ウオークマンとなどなど、これまでもないわけではなかったものの、アートとして指定スポットで「音楽と出逢う」というコンセプトが新しかったかな、と。

選曲(というかサウンドメイク)はエレン・リードさんによるもので、その意味では聴き手の自由度がなく、美術作品として「鑑賞する」というアプローチになります。

ただ、エリアを歩き回っていると、シームレスに音が変化していくので、バーチャルとリアルが混濁していく体験ができるのがおもしろかった。

とりあえず来年(2024年)の3月ぐらいまで続けられるそうなので、また上野に行ったらアプリを起動してみます。