アドリブの応酬は意味をもたない音による会話であることが科学で実証された

米ジョンズ・ホプキンス大学の耳鼻咽喉科准教授のCharles Limb氏らの研究で、ピアニストがドラマーとフォーバース(4小節ごとのアドリブの応酬)をしているときの脳活動のデータをとったところ、統語領域が活発化していたことが判明したそうです。

photo by Ed Yourdon

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ジャズの即興演奏では脳の働きも即興 海外ニュース【健康美容EXPO】

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When Jazz Musicians Improvise, So Do Their Brains

お互いに役割分担をしているわけではないので、この研究結果はライヴを観ていればそれほど違和感のあるものではないと思います。ただ、ちゃんと脳のデータを取って検証したというところに意義があるとは思いますが。

意味の領域は働いていない、という点は興味深いですね。アドリブに意味付けるという行為は「ジャズではない」ということの裏返しにもなるのではないでしょうか。

おもしろい研究です。

ジャズの即興演奏では脳の働きも即興

即興で演奏するときのジャズ演奏家の脳の不思議な働きが、米ジョンズ・ホプキンス大学の耳鼻咽喉科准教授のCharles Limb氏らの研究で明らかになり、研究論文が「PLoS One」オンライン版に2月19日掲載された。

Limb氏らは、25~56歳のジャズピアニストの男性11人を対象に、機能MRIスキャンを用いて、「トレーディング・フォー(フォー・バース・チェンジ)」をやっているときの脳活動をモニターした。トレーディング・フォーはドラムと他の楽器が即興で4小節ずつソロを交換しながら進めていくこと。

MRIスキャンの結果、文や句の構造を解釈する際に通常、使用される脳領域の活動が高まっていたが、話し言葉の意味を処理する際に使用される領域の活動は低下していた。これは、言語の構造を処理する脳領域は話し言葉に限らず、音楽など他のタイプのコミュニケーションの処理にも使用されることを示しているという。

Limb氏は、「今回の研究で、音楽と言語の脳での意味の処理方法に根本的な違いがあることが示された。トレーディング・フォーに没頭しているとき、単に演奏の順番を待っているわけではない。聴いた内容を処理するため、脳の統語領域を用いて、以前に作曲したり練習したりしていない新しい音楽を演奏し、反応できる」と述べている。(HealthDay News 2月19日)