[拾い読み]音楽は音楽のみによって成り立たないのか(「沖野修也が明かす“1万円でアナログ販売”提案の真意」を読んで)

これは興味深い記事。

 

 

DJの沖野修也氏が昨年末に自身のブログに書いた記事について、本人に取材したというものです。

その元になった沖野さんのブログはこちら。

僕がアナログを一万円で売ろうと思った訳|沖野修也 オフィシャルブログ

 

そして、彼にそのブログの真意を聞くためのインタビューをした記事はこちらから…

 

沖野修也が明かす“1万円でアナログ販売”提案の真意「録音物にはライブとは違う価値がある」(1/3) – Real Sound|リアルサウンド

 

沖野:音源を無料配布、もしくは無料ダウンロードなどにし、ライブで収益をあげるという人も多い時代ですが、それも一定の人気がないと成立はしません。ドサ回りしてる人でも、ある程度の人気や認知があるからドサ回りできるわけです。それ以前の若手ともなれば、都内でも地方でも地元でも、まったくライブができないし、呼ばれることもない。それは、プロモーターやレコード会社だけの問題ではなく、リスナーも使うお金を最小限に抑えたいので、話題になっている人を厳選しているわけです。見ず知らずの人からフライヤーもらい、観たことも聞いたこともないバンドのライブに行くか? となったら、行かないですよね。なので、僕は音源をタダにしてライブで地方を回ればいい、という考え方には懐疑的です。

これは、CDの売れ行きが行き詰った7〜8年前ぐらいから言われていることです。

沖野氏の指摘のように、一般的な無名バンドは対バンで、しかもライヴハウスへのバックマージンなど、とても自分のバンドのライヴ売上で生計を立てられるような状況ではないと思います。

一部のミュージシャンが路上に出るのは、表現の自由の問題ではなく、音楽発表環境のホームレス化と言える問題ではないでしょうか。

 

もちろん、試聴(視聴)やアルバムの1曲をフリーにする、というのは否定しません。でも、音楽業界関係者と話をしていると、「音楽は無料! ライブも無料! Tシャツで儲けます!」みたいな話が多すぎて、「俺らはTシャツ屋ちゃうねん!」って思うことが多々ありますよ(笑)。音楽家は演奏し、録音物をつくり、それに対するお金を支払ってもらう。それはごくごく自然なことだと思います。

自分の表現物をマネタイズすることが基本であることを論点の基本にするとすれば、それ以外を排除することで解決策は絞り込めてくるはずです。

ただ、なぜこの問題が錯綜しているかといえば、おそらく音楽のマネタイズに根本的な問題があるからではないでしょうか。

となれば、残念ながらアルバム1万円は、問題提起になりこそすれ、解決にはならないことになります。

沖野氏は極論で1万円を提起したと思いますが、もう少し緩やかな、たとえば定価を段階的に設定して、それぞれに付加価値をつけるというような方法論が必要になってくるような気がするのですが。

いずれにしても、当事者としてこの問題は取り組んでいかなければいけないと考えています。