【あまびえジャズ祭参加作品】「18.LD008.Asteroid Belt」by 松井秋彦

 

本人による解説

35拍子を、16分の5、16分の7、7分11(7連符が11つずつ進む)の周期のフレーズで各楽器が泳ぐAセクションに、5連符の中抜きで成り立つ20ビートと、7連符の中抜きで成り立つ28ビートの繰り返しになっているBセクションでできているこの曲は、ハーモニー的にも様々な変わった調性の中を泳いでいて、松井秋彦の提唱するCPJ(Contemproary Progressive Jazz)のコンセプトを比較的完結に描いた曲です!それを、四刀流ジャズマン(マルチパフォーマー)ならではの全パート本人の演奏による動画のサイト(JOKER of all trades Flunker of none)のチャンネルにアップしたものです。

アナタのJAZZ観を揺るがす“常識からの解放”という愉悦──「18.LD008.Asteroid Belt」について by 富澤えいち

CPJというのは、マルチ・インストゥルメンタル・プレイヤー&作曲家として活動する松井秋彦が提唱した音楽演奏スタイルです。

なんの略かといえば、コンテンポラリー・プログレッシヴ・ジャズの頭文字。

コンテンポラリーというのは“現代”という意味ですが、実は芸術的には、“モダン”を“現代的なもの”と定義付けていました。

それは主に19世紀末建築分野でのこと、産業革命による近代工業化を反映した機能主義や合理主義の、それまでの様式美的な装飾を用いた建築を否定する傾向が強まった作風を指していたのですが、“それまでの様式を否定する”という部分が援用されて、ほかの芸術分野でもモダニズムが波及することになりました。

ジャズでも20世紀半ばの、スウィングから派生したビバップ由来のジャズをモダンと括っていますが(というか、ビバップから装飾を廃したクール・ジャズを狭義のモダン・ジャズとするほうがモダンの定義に合っているといえるでしょう)、ほかのアート・シーンと同じようにそれを否定する方法論を採ることが“モダンのモダン”となり、呼び方をコンテンポラリーとしたわけです。

1970年代以降に顕著となったコンテンポラリー・ジャズでは、その原動力となった電気楽器によるサウント・イメージの形成をはじめとして、パフォーマンス・アートの影響や、モダン・ミュージックの一派である印象派をさらに民俗音楽的流行音楽に取り込んだアプローチなどなど、さまざまに派生していきます。

そうしたなかで、松井秋彦が“否定した”のは、ジャズらしさと言われてきたリズムとハーモニーだったといえるでしょう。

この「18.LD008.Asteroid Belt」という演奏が、ただ単に1人の演奏者ですべてをまかなうという奇異さだけでなく、そう聞こえるはずがないのになぜ“合奏”という概念を拭い去ることができないのか、という部分で、それが“コンテンポラリー”であることに気がつかなければなりません。

つまり、松井秋彦が否定しているのは既成のジャズであると同時に、ジャズをジャズだと思っているアナタの感性だということ。

それに気づいたときに、ニヤリとできるのが、彼が教えてくれる“ジャズの楽しみ方”ではないかと思っているのです。

プロフィール

松井秋彦 Composer / Multi-Performer(key,g,b,ds)

バークリー音大を奨学生として卒業して以来、CPJ(Contemporary Progressive Jazz)を旗印に、ハーモニー、リズムが同時に進化した先駆的ジャズの活動を続ける無類のマルチパフォーマー(ピアノ、ギター、ベース、ドラム)で作編曲家。

ライブは全国そして、海外はドイツ、マレーシア、タイなどにてツアーしながら、CPJのCDのレコーディングは枚挙に暇がない。

CPJのベスト50曲の驚愕の難曲譜面集『mujik CPJ』と、その中からのbest 10曲のマルチパフォーマンスのCD『album CPJ』その攻略本とも言われるコンテンポラリージャズまでを含む理論書「book CPJ」なども上梓し、近年はCPJのベスト50を含むbest 100曲として、「fjord CPJ(フィヨルドCPJ)」としてそれらの難曲をライブなどにて演奏し続けている。

2020年に入り、You Tubeに本人のマルチパフォーマンスの多重動画のチャンネル「JOKER of all trades Flunker of none」も開設。

1.松井秋彦の本宅~CPJ Mujik Official site http://www.graphic-art.com/cpj/

2.松井秋彦の四刀流『album CPJ』のSound Cloud上のサンプル音源 https://soundcloud.com/mujik-cpj

3.JOKER of all trades Flunker of none Channel~松井の四刀流マルチ画面動画 https://www.youtube.com/channel/UCVlkmHXJFcC681hheQg2u6Q

4.fjord CPJ (フィヨルドCPJ)You Tube Channel CPJのあらゆるライブ動画 https://www.youtube.com/user/CPJMUJIK

5.off CPJ~EPSなどのYou Tube Channel 抽象的な世界へ向かう動画 https://www.youtube.com/channel/UCsp6lvkqtDmyYhAw7sh5JjQ

6.Kaleidoscape You Tube Channel ~かれいどすけーぷでの松井のスタンダードのアレンジ動画 https://www.youtube.com/user/telekaleidoscope

7.キッキューさん(キックの一休さん)という左足カウベルを用いたあらゆる実験動画 https://www.youtube.com/user/HIBIKOREKICQUE

支援はこちらから

動画を観て「いいね!」「おもしろい!」と思ったら、ぜひ演奏者の活動を応援するために寄付を考えてみてください。

以下のサイトで「松井秋彦/18.LD008.Asteroid Belt」のチケットを購入していただくと、その売り上げから諸経費を引いた金額を演奏者にお渡しします。

➡下記PASSyour マーケットで「応援券」をご購入ください。

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01ppqk10ysb3e.html

あまびえジャズ祭ってなんだ?

あまびえジャズ祭へようこそ!

このジャズ祭は、新型コロナウイルス感染症対策でSTAY HOMEしているジャズ好きのみなさんのために、演奏者の方々に協力していただいて、好きなときに好きなようにジャズの動画を楽しんでいただこうと思って始めた企画です。

基本は演奏者が自分で選んだ動画を観ていただくというだけの祭です。

そこにほんのちょっと、音楽ライターの私が講釈を加えます。

ならぬ堪忍するが堪忍という現在の状況ですが、堪忍袋の緒を緩めてくれるジャズの楽しみを、この機会に広げていただければ幸いです。

なお、演奏者で賛同いただけましたら、ぜひエントリーください。
説明ページはこのリンク先にあります。➡説明ページ