“対立と融合の国”アメリカを紐解いた音楽と映像のコラージュ #アメリカンミュージックジャーニー

「アメリカンミュージックジャーニー」という映画の試写に行ってきた。

「一人のミュージシャンがアメリカ音楽のルーツを探り、新たな歌が出来るまでを描いた旅の軌跡」という惹句が付いた映画ね。

監督は、グレッグ・マクギリヴレイ。2度のアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞にノミネートされたことのある、気鋭の映像作家。

要約すれば、音楽史上希に見るスピードで発達・完成したアメリカ音楽の成り立ちを、アメリカ国内を旅しながら映像化した作品、というところかな。

ヒストリー・フィルモグラフィ的なタッチなの?

冒頭、ルイ・アームストロングをモチーフにしたジャズの歴史をなぞっていく部分についてはそんな演出だったんだけど、そこにアロー・ブラックをかませることでお勉強的な雰囲気が払拭できていたんじゃないかな。

アロー・ブラックはグラミー賞ノミネートのシンガーソングライターだね。

彼をガイド役にして各地を回るロードムービーっぽくイメチェンできてた。

どんな場所を巡ってるの?

旅の始まりはニューヨーク。ルイ・アームストロングの家も訪れ、そこからヒップホップが生まれるという結びつけもいいなぁ。

それから?

ニューオーリンズでの結婚パレード。そしてシカゴ。シカゴではラムゼイ・ルイスが登場して「お〜っ!」と声が漏れちゃったね(笑)

ジャズの歴史映画って感じがするね。

そうでもなくって、ここからはジャズから離れて、フォークの世界へ。ナッシュビルへと移るんだ。そしてメンフィスでエルビス・プレスリーに触れ、デトロイトではモータウンとゴスペル。

いや〜、早足だけど、けっこう俯瞰的にアメリカ音楽をとらえてるよね。

マイアミではラテンの影響を受けたアメリカンポップスの紹介。ここではグロリア・エステファンが登場!

グロリア・エステファン!

相変わらずお美しかった……

マイアミといえば彼女ですから(笑)

エンディングでは、アロー・ブラックがワシントンDCの歴史的建築物をバックに、この映画を象徴する有名なナンバーを熱唱。なかなか感動するエンディングだった。

ちょっとしたアメリカ合衆国一周の旅だね。

そう。それが40分に凝縮されているんだ。

ショートフィルムではないけれど、短編映画だね。

でも、このスピード感もまた、お勉強感を薄める効果があったんじゃないかな。

2018年11月16日(金) イオンシネマ、新宿武蔵野館ほかで2週間限定公開

「マイルス・アヘッド」を観に行った2017年1月10日の話

1年前、「マイルス・デイヴィスの空白の5年」と言われている1970年代後半を扱った映画を観に行っていました。

 

確か、公開がそろそろ終わりそうだったので、慌てて観に行ったんだと思います。

 

こういうマイナーな映画の上映は、ロードショーと違って1日に1回きりだったりするので、時間を合わせるのがタイヘン。

この日も、午後イチの上映に合わせて、まずは腹ごしらえ。

出掛けたのは横浜西口。相鉄駅前の立ち食いそば屋さんに立ち寄りました。

 

さっとかき揚げ蕎麦を流し込んで、運河を渡った映画館へゴー。

 


 

マイルスが出迎えてくれました(笑)。

 

なんか、チケットが安かった日だったみたい。

 

映画については、和田誠監督「真夜中まで」を思い出してしまったのはボクだけかもしれないのですが(笑)。

 

 

ここのところドキュメンタリー系のジャズ映画が多かったので、こうしたアクションものの楽しめる内容はよかったですね。もっとカリカチュアライズしてもよかったんじゃないかというぐらい。だって、リアルはもっとえげつないでしょうから。

 

 

 

 


ひとりで映画を観たあとは、ひとりで反省会(笑)。

関内の焼き鳥センターを初訪問してみましたよ。

まずは名物とかになっているサワー。

 

手羽先が1本からたのめて安いっ!

と思ったらこんなんでしたわ。

でも、味はつまみ向き。

 

焼き鳥もたのんでみました。

鳥貴族よりボクの好みかも。

 

カフェに寄ったのと同じぐらいかな(笑)。

 

さぁ、カミさんに叱られないように、早く帰ろっと。

 

 

伊藤計劃原作のアニメ「ハーモニー」を観て衝撃を受けています

 

夜中にTVをつけたらついつい見入ってしまったアニメ「ハーモニー」。

伊藤計劃|Itoh Project「ハーモニー」

寝なければならなかったので、後半の1時間ほどを録画。

ようやく週末の昼ごはんを食べながら観ることにしたんだけれど、昼ごはんを食べながら観るような作品じゃなかったなあ(笑)。

とても重い。

言葉が重い。

このところ、この世界観に近い作品をたまたま続けて読んでいたこともあって、とても興味をひかれてしまった。

DVDで観直してみたい。

 

 

 

映画「セッション」の監督インタビューを読んでみると日本での宣伝の仕方がピント外れなんじゃないかと思えるのだが……

 

 

 

当サイトでも菊地成孔さんの記事を引用して俎上にあげてしまった映画「セッション」。

映画「セッション!」にはオチがなくて笑えないと教えてくれた菊地成孔さんに感謝しよう|富澤えいちのジャズブログ

 

アカデミー作品賞ノミネート作品なので無下に扱うこともできず、というコメントがテレビなどで聞こえる今日この頃。

 

公開直前になって、デイミアン・チャゼル監督のインタビューがネットに公開されるようになった。

 

 

ガジェット通信のインタビューでは、前置きとして「作品の基になった自身の体験」という紹介の仕方をしている。

 

チャゼル監督:フレッチャーのようなキャラクターを創ったのは、(生徒が)素晴らしい演奏者になるために、どこまでやっていいのかというジレンマに焦点を当てたかったんだ。そこを強調するために、もっと怖くて意地悪なキャラクターにしたんだよ。

 

この点がデフォルメされたミステリー、あるいはホラー映画に近い演出であったことをふまえた作品評が“正解”だったことがわかるのではないだろうか。

 

ラストに関しても「ジレンマの問いかけが観客に残るようなエンディングを目指していた」と語っていることから、ジャズはもちろん音楽にフォーカスしたものでもなく、成長物語にしたくなかったという意図がくみ取れる。

 

つまり、ジャズの視点で語ってはいけなかったということ。

 

 

 

VOGUEのインタビューの前置きでは「予想もつかない展開は、まるで総合格闘技を観ているような」と表現。

 

そのインタビュアーの感想に対してチャゼル監督は「まさにそれが狙いだったんだよ」と肯定している。

 

ジャズを道具に総合格闘技を表現したという方法論はあり得ないものではないが、使い方のマナーが悪かったというのが、「しこり」の原因になっているのではないだろうか。

 

もしくは、「音楽も他のスポーツ同様に過酷なものなんだよ」という彼の主張を素直に受け入れたくないという、PTSDのようなものと言ったらいいだろうか……。

 

 

 

 

映画「セッション!」にはオチがなくて笑えないと教えてくれた菊地成孔さんに感謝しよう

 

観ておいたほうがいいかなと、職業倫理的に気になっていたのが「セッション!」という映画。

 

3022131057_c00438ece9_m Girl at the Drums by jblaha

 

 

アカデミー賞3部門を受賞しているしなぁ、と。

 

映画「セッション」公式サイト

 

後出しジャンケンのようだから心苦しいんだけど、予告編を見て、ちょっと躊躇していた。

 

おいおい、そういうしごき練習をするという映画なのかよ〜、と。

 

要するにスパルタだ。

 

まあ、スパルタ的、「巨人の星」みたいな演出は、根性ものや成長ものには欠かせないからね。

 

映画「スウィングガールズ」だって、ペットボトルをへこまして肺活量を鍛えたりしていたしね。

 

ああいう細かいギャグが、けっこうラストの演奏シーンの感動につながっていたのは確かだと思う。

 

だから「セッション!」も、観てから批評すればいいんだろうと。

 

と、そんな出鼻をきれいにくじいてくれたのが、菊地成孔さんの痛烈な「セッション!」評だった。

 

「セッション!(正規完成稿)〜<パンチドランク・ラヴ(レス)>に打ちのめされる、「危険ドラッグ」を貪る人々〜」|naruyoshi kikuchi INTERNET TROISIEM

 

菊地成孔さんらしい、ヨレているのにキレがある分析で、見事に予告編を見たときのモヤモヤが吹っ飛んでしまった。

 

裏話はちょっと書きすぎですね(笑)。

 

せっかくのワインが飲めるチャンス、減っちゃうじゃないですか。。。

 

世界初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」BD化 [ジャズキュレーション]

昨日話題にした「ジャズ・シンガー」についての

記事がありましたので、紹介しておきましょう。

 

(引用:世界初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」BD化|AV WATCH)

 

Amazonや楽天ブックスをみると、3,000円くらいでセール

してるようですね。

 

この映画は、当時大流行していたミンストレルショーを

映画化したものだと言われているので、見たいと

思っていたんです。

 

ワーナー兄弟の逸話も興味があるのですが、

その前にまず、見ておこうかな、っと。

 

 

 

 

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あゝ無情

レ・ミゼラブル/Wikipedia

 

映画「レ・ミゼラブル」を観て来ました。まさに圧巻。圧倒されました。

原作は、ヴィクトル・ユゴーが1862年に出版した大河小説。

出版時、ナポレオン3世と対立して政界を追われ、祖国を追放されていた

ユゴーが、起死回生のためにこの物語を筆を折る覚悟で上梓し、

売れ行きを出版社に尋ねるために出した手紙が「?」だけだったという、

世界一短い手紙という逸話が残っているというのが、この本のこと。

 

ちなみに、青空文庫では無料で豊島与志雄訳・岩波文庫版を読むことが

できます。

 

この作品は、1980年にフランスでロック・オペラなどを手がけていた

クロード=ミシェル・シェーンベルクによってミュージカル化され、

パリで上演されました。

ちなみに、無調音楽を創始したことで知られるアルノルト・シェーンベルクは

彼の大伯父にあたるそうです。

 

これをもとにロンドンでの上演が計画され、1985年には、原作を知らずとも

楽しめる内容にアレンジされたミュージカル「レ・ミゼラブル」が完成しました。

 

日本でも1987年に帝国劇場で上演。世界で3番目という早さだったんですね。

今年も上演が予定されているそうです。

 

帝国劇場 ミュージカル『レ・ミゼラブル』

 

1957年にはジャン・ギャバン主演によりフランスで映画化。世界的な名作

と呼ばれている作品です。

1998年にはアメリカ映画でも映画化され、いずれもユゴーの原作に準じた脚本。

 

 

このたび公開された2012年版は、初のミュージカル原作による映画で、

イギリス映画となっています。

 

ミュージカル映画は予め歌を先に録音して、それに合わせて演技を

撮影する方法が一般的だったものが、この映画では演技と歌を

同時に行なうという方法をとっています。役者にとっても非常に

プレッシャーだったと、主演のヒュー・ジャックマンがインタビューで

語っていました。

 

 

「歌の力」を教えられる映画として、記憶に残る作品になっていると思います。

このトレイラーを見ると、感動が甦ってきてウルウルしちゃいます……(笑)。

 

そういえば、劇中歌の「夢やぶれて (I Dreamed a Dream)」は、

「聴いたことあるなぁ~」と思っている人も多いんじゃないでしょうか。

 

2008年にイギリスで放映されたテレビの公開オーディション番組

「ブリテンズ・ゴット・タレント」に出場し、その模様がYouTubeで世界に配信

されて注目を集めたスーザン・ボイルが歌った歌、ですね。

 

 

それにしても、「歌手になるのが夢なの!」と嬉々として語った後に歌うのが

「夢やぶれて」って……。これって、イギリス人特有のユーモアってやつかな?(笑)

 

ところで、ユゴー原作の『レ・ミゼラブル』は、明治時代に黒岩涙香によって

翻案されていました。タイトルは「噫無情(ああむじょう)」で、こちらの呼び方で

この一連の作品を認識している人も多いのではないでしょうか?

 

というか、ユゴーを思い出すよりも、アン・ルイスさんを思い出す人のほうが

多かったりして(笑)。

 

作詞を担当されたのが、湯川れい子さん。

この曲、1986年リリースなんですが、もしかして湯川さん、

イギリスのミュージカルの評判を聞いたか、もしかしてロンドンで

実際にミュージカルを見ていたか……。

 

そういえば、評伝が出ていましたっけ。本屋で見かけたのですが、

買いそこねていました。

目次を覗いてみると、「六本木心中」のくだりはあるようですが、

おそらく「あゝ無情」はないだろうな、と。

いや、いいんです。そんな、調べなくちゃいけないようなことじゃ、

ないんですから(笑)。

 

[映画]「みんなで一緒に暮らしたら」観後感

 

明後日(11/3)から公開されるフランス映画「みんなで一緒に暮らしたら」を

一足先に観てきたので、感想を書き留めておきましょう。

映画『みんなで一緒に暮らしたら』オフィシャルホームページ

人生のエンディングをどう迎えるかは、誰もがいつかは向き合う最大で最後の選択。年を重ねて悩みを抱える 5人の友人同士がみんなで一緒に暮らし始めたら、自分らしい幸せな生活を送れるかもしれない・・・ という斬新なアイディアで、本作を映画化したフランス俊英監督ステファン・ロブラン。監督の実体験をもとに 5年をかけて完成された本作は、2011年第64回ロカルノ国際映画祭で観客から圧倒的な支持を得て絶賛の 拍手を浴びた。『みんなで一緒に暮らしたら』は、そんな現代の高齢化社会の悩めるテーマをユーモアたっぷりに あたたかく描いた感動作。(引用:公式ホームページ)

主演はジェーン・ホンダ。彼女が出ているというだけで、普通のストーリーじゃない

んだろうなということは、映画マニアじゃないボクにもわかる。

だからといって、深刻なのかと言えば、前宣伝を見るかぎりそうでもないらしい。

 

簡単にまとめてしまえば、老々介護をフランス流にオシャレにまとめてみると

こんなかんじになっちゃいました~、というコメディ・タッチの内容なのかな?

と、あまり気負わずに見始めたのだけれど、さすがにフランス映画だなぁと

クスリと笑わされるところがたくさんあって、飽きずに見続けることができる。

 

かといって、内容にグイグイと惹き込まれていくのかといえば、そういう感じは

正直言ってない。

 

リタイアし、いろいろな衰えに戸惑う世代に対して、まだ共感を抱けるほど

距離が縮まっていないということも大きいのだろうけれど、演出的に

「違う世界の人たち」のことを描こうと意図しているような気がしないでもない。

つまり、ドキュメンタリー・タッチになるべくならないようにと配慮されている

ということなんじゃないだろうか。

 

見終わって、フッと思い出したのが、テレビ・ドラマの「俺たちの旅」のような

世界の老後版かなぁ、と(笑)。

 

日本でも終活なんて言葉が流行ったりして、自分の終末をどうするかを

考える人が増えているようだけれど、この映画はちっとも役に立たない(笑)。

役に立たないけれど、考えなくちゃなぁと思っている人が暗くならずに済む

という効能はあるかもしれない。

 

コメディ映画としては、けっこう高い評価を得られるんじゃないでしょうか。

シブい俳優さんたちがとてもいい演技をしているから、オススメできます。