ビッグイシュー日本版(190,191,192,194)の読後感想記



 

「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」というポリシーのもと

販売員が路上で売っているというスタイルの雑誌が「ビッグイシュー」。

 

販売員さんは主なターミナル駅の近くに立って販売しているのだけれど、

なかなかタイミングが合わないために、買い損なったりすることもあります。

 

そこで、月2回の発行のこの雑誌を、たまたま販売員さんを見つけたときに

まとめて買ったりすることも多いんですね。

 

300円の定価がついているこの雑誌、そのうちの160円が販売員さんの

収入になるそうです。額は小さいですが、これを貯めながら、

路上生活から脱出しようと努力されている人も多いとか。

 

ボクは、記事の内容がとても充実しているので、2009年から買い続けています。

ほんのわずかですが、困っている人の手助けができるというのも

重要かもしれません。


 THE BIG ISSUE JAPAN190号

 

特集は「生きる風景」と題して、東田直樹と宮本亜門の対談を中心に

発達障害についての理解を深めるための視点で組まれています。

 

専門家は「発達障害それ自体は病気ではない」として、一般的に

「精神遅滞(知的障害)」「広汎性発達障害(自閉症やアスペルガー障害)」

「ADHD」「LD」に大別されるということです。

 

こうした知識をしっかりと得ることによって、差別はもちろん、

こうした人とのすれ違いや触れ合いに際しても、偏見なく

心を開いて付き合うことができるようになるのではないでしょうか。

 

表紙も飾っている東田直樹さんのコラムは「ビッグイシュー」に連載され

ボクはその感性にマイッてしまって大ファンなのですが、

整然としたコラムの雰囲気とはまったく違った対談風景に、

かなり衝撃を受けてしまいました。

 

しかし、これが彼の本来の姿なのだ、と。

 

人との関係性を構築するためには、まずそこからでなければ

ならないはずです。それを教えられたという意味でも

この特集はかなり意義のあるものでした。


 THE BIG ISSUE JAPAN191号

5月の中旬号ですが、この表紙は韓国の歌手イ・ヒョリという人。

 

 

特集は、「いま、社会的企業。韓国の現場から」と題して、

5年前に施行された「社会的企業育成法」によって生まれた

韓国の「仕事」に対する新たな試みについてレポートしています。

 

韓国はおそらく日本以上にコミュニティの締め付けが厳しく

なかなかその枠を超えて自由な活動を始められないと思うのですが

法律を決めて、そこから無理矢理にでも風穴を開ていこうという

ことをした結果、どうなっているかということが見えてきます。

とても興味深い。

 

日本でもコミュニティを立ち上げるのはひと苦労。

維持するのはさらに苦難の道を歩まなければなりません。

この韓国の先例は知恵と勇気を与えてくれるのではないでしょうか。


 THE BIG ISSUE JAPAN192号

この表紙は、ひつじのショーンというアニメのキャラクターです。

いえ、ボクは知りませんでした・・・(汗)

 

「英国、住宅政策の光と影」という記事では、リバプールの街で起きている

古い住宅地の行政による地上げを取り上げて、その経過を追っています。

壊して新しくするのではなく、直して住みやすくするという試みも紹介。

空き家を1軒あたり約65円で売却するという例では、その条件として

「約160万円以上を家の修繕に使い、一定の年数住み続ける]ことを付しているそうです。

 

近くにはザ・ビートルズのリンゴ・スターが生まれ育った家もあるそうです。

 

「レポート被災地から25」では、原発事故現場の作業員をしていた人の

インタビューが載っています。

大手メディアの報道とはかなり乖離があり、やはりテレビ報道では限界があるな、と。

この人は今年1月の健康診断で目の角膜に白い濁りがあると診断されたそうです。

放射能の影響ということですが、彼よりも多く被曝している人がいるのが現状。

下請け企業の健康管理はずさんで、4月からは危険手当もでなくなっているようです。

 

原発は「トイレがない建物」と言われていますが、内部で用を足さなければいいという

問題ではなく、用を足してしまった内部では処理できない構造であることに

問題があると気が付かなければならないのでしょう。

 

特集は「“タネ”から考える食べ物の未来」と題して、食料問題を種子に視点を

当てて考える記事になっています。

F1種や遺伝子組み換えの不安はニュースなどで見知っていましたが、

すでに日本の農業の99%はなんらかの操作がされた種子で作られた作物が

流通し、それを毎日口にしているわけです。

無農薬・有機栽培なども重要ですが、種子にたっぷり農薬がかかっている

例もあるそうなので、消費者はもちろん、農家も安心してはいられないんですね。


 THE BIG ISSUE JAPAN194号

 

ハリウッド女優のアン・ハサウェイが表紙ですね。

アン・ハサウェイの代表作といえば、「プリティ・プリンセス」かな。

クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト・ライジング」では

キャットウーマンを演じてイメチェン。

ううっ、観たいと思っていたのに、観ないうちに公開が終わっているみたい・・・(泣)

⇒「ダークナイト・ライジング」の公式ホームページ

こんなかわいいフィギュアが売ってるんですね(笑)

右端がアン・ハサウェイかな?

 

特集では「被災地からの手紙」と題して、3県で生活をし活動を続けている

11人の人が書いた、読者宛の手紙を掲載しています。

 

見えなかった現状を訴えるような内容に、心が揺れてしまいます。

 

忘れないこと、考え続けること。