いささか旧聞に属するが、2012年11月3日付朝日新聞オピニオン面に興味深い記事が乗っていたのでまとめておきたい。
実験的に該当箇所を携帯端末で写メるというメモの取り方を取り入れてみた。いろいろと読書メモの方法を考えていたのだが、ノートに書き写したり、該当箇所をパソコンに打ち込み直したりという方法はかなり面倒くさく、そのために読後の本を整理できないでいる状態が続いている。
なんとかその状況を打破しようと考えていたところ、写メで取り込んでおけばいいんじゃないのと気がついた。
これを公開するのは、版権などの問題が発生するとも考えられるが、新しい引用のスタイルとなるかを試してみたいということも含めている。
引用:朝日新聞2012年11月3日12版17面オピニオン「耕論 ネットで文字は売れるか」
●作品が一流なら買ってくれる
加藤貞顕(ピースオブケイクCEO、編集者)
【memo】
加藤氏はネット・コンテンツの現状を「プロの本気がない」「情報はただの掟が打ち破られていない」と認識する一方で、タブレット端末の登場で状況が変わりつつあるとしている。
氏の手がけた『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」の電子書籍化が17万部売れたことを例に、コンテンツがネット向きであると主張。
それには宣伝広告費だよりの運営から脱却するとともに、コンテンツ側も「短く軽く、単価は安く」する必要があるとしている。
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●B級ネタで勝負するしかない
中川淳一郎(ネットニュース編集者)
【memo】
中川淳一郎氏は現状を過激に「社説より女性タレントのつぶやきに関心がある」なかでコンテンツ商売を展開しなければならないとバッサリ。
氏が「バカ」と揶揄する、いわゆるコンテンツの扱いに関して素人である層が気軽に参入できる現状にも言及。
加藤氏と同じく「ネットは無料」という意識が定着していることに触れるが、収入の柱に広告を置くことを提唱し、その理由として「インターネット全体の広告費は約8千億円」で新聞の約6千億円を上回っていることを指摘。企業がネットのコンテンツに注目していることは「間違いない」とする。
よって、コンテンツは「PVをいかに多くするかが最も重要」であるとするが、バナー広告が1回表示あたり0.1円が相場であることから、コンテンツ・ビジネスの先行きは明るくないと締め括っている。
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見事に期待論と悲観論を揃えた紙面だったが、両者ともにネットの可能性を否定していないところは共通している。
つまり、まだまだネットではなにが起こるか予測がつかないということなのだろう。
実際にこれまでのコンテンツ論はすべてPCベースの予測であり、携帯端末でその予想は大きく裏切られ、いままたタブレットの隆盛によって変化の兆しを見せている。
そしてまた、両者は「プロと名乗ることのできるコンテンツの書き手の不在」を指摘しているところも重く受け取るべきだろう。
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