YouTubeでの著作権管理がJASRACの DXでかなり便利になりそうです

Google日本法人によるYouTubeコンテンツの著作権取り扱いに関する取り組みについてのセミナーの模様を伝えた記事。

YouTubeの施策

1)日本音楽著作権協会(以下:JASRAC)とのパートナーシップ強化を発表(2023年2月)

2)ショート動画のクリエイターが広告から収益を得られる新しい施策も開始(2023年2月)

GoogleとJASRACの許諾契約のパートナーシップ開始は2008年

現在、JASRACが管理する7500万以上の音楽コンテンツをYouTubeで使いやすくすることに合意

YouTubeの自動コンテンツ識別システムである「Content ID(コンテンツID)」を活用→使用される音楽コンテンツの著作権の所在を正確に特定するため

YouTube上のトラブルに対してJASRACは介入しないというスタンスを貫いている

その代償としてGoogleが提供するのが上記のContent IDを含むYouTubeの「著作権管理スイート」と呼ばれるシステム

YouTubeの著作権管理スイートは「ウェブフォーム」「コピーライトマッチ」「Content ID」という3つで構成される

ウェブフォームはコンテンツ制作者やコンテンツ利用者の窓口で、問い合わせや削除依頼などはここから行う

コピーライトマッチは、アップロードされた自身のコンテンツのコピーを自動検出できる無料の解析ツールで、不正利用の問い合わせや削除依頼を送ることができる

2022年6月の時点で200万人以上のYouTubeのチャンネルクリエイターが利用

Content IDは、さらに複雑な著作権管理を必要とする、映画制作会社やレコードレーベル、著作権管理団体などYouTubeのパートナーのために設けられたツール

感想

「楽曲のマイナンバーだろうか?」

「“Content ID”では、動画や音声の特徴点を符号化した情報を抽出するフィンガープリント技法によって、完全な同一性ではないケースでも著作権法に触れる使用の指摘が可能に」

収益化との関連

2023年2月1日のYouTubeパートナー プログラム規定変更で最長60秒の「YouTubeショート」の動画クリエイターも長尺動画と同様に広告収入の分配がされるようになった

収益化資格の条件は、「ショート動画収益化モジュールへの同意」「チャンネル登録者数が1000人以上」、「直近12ヵ月間の有効な公開動画の総再生が4000時間以上」または「直近90日間の有効な公開ショート動画の視聴回数が1000万回に到達」など

広告収益はいったんプールされた後に、コンテンツの視聴回数と音楽の使用状況の解析結果に基づいて適正に割り振られる(動画に広告が付くわけではないため)

ショート作成ツールでは「サウンドを追加する」という機能を設け、権利関係がクリアランスされた楽曲の提供で、非営利目的のコンテンツの場合、別途ライセンス許諾の申請を不要にしている

Content IDに関する公式説明動画

散歩と音楽鑑賞のマリアージュをアプリで実現[ニュース拾い読み]

上野恩賜公園で“欧米発のパブリックアート”が実施されているというニュース。

「エレン・リード・サウンドウォーク」というもので、公園内を歩き回るとアプリが音楽をセレクトして、風景と調和した体験がもたらされるそうです。

3月6日から約1年にわたって行なわれる予定。

上野では、「国内最大級のクラシック音楽の祭典〈東京・春・音楽祭2023〉が3月18日から4月16日まで開催されますが、これに先立って「エレン・リード・サウンドウォーク」がスタートしたというかたちとなります。

エレン・リードさんはこんな人。

立案・製作を手掛けたのは、ピューリッツァー賞受賞歴もあるアメリカ出身の作曲家/サウンドアーティストのEllen Reid(エレン・リード)。ニューヨーク・セントラルパーク、ロンドン・リージェンツ・パーク&プリムローズ・ヒルなど欧米の著名な公園を中心に実施されており、今回が日本初上陸となる。日本での実施に際し、エレン・リード本人が実際に上野恩賜公園を歩き音響デザインを行ったという。

https://mag.digle.tokyo/news/170985

早速、アプリをダウンロードしてみましたが、エレン・リード氏が手がけている9つのプロジェクトがトップページに羅列され、そこに上野公園用のデータをダウンロードするというシステム。

これは出かける前に準備しておいたほうがいいですね。

スタートしてみると上野公園の地図が表示されます。現地で実行すると音楽が連動する仕組みのようですね。

上野に行く機会を設けて、体験してみたいと思います。あ、花見の時期ですね〜。

演奏はなんと! 結成50周年を迎えたクロノス・クァルテットの“Kronos’ 50 for the Future(未来のための50曲)”というプロジェクトに連動したもののようです。

スマホの充電、イヤホンの用意も怠りなく、出かけてみたいと思います。

なお、季節によって選曲も変わるようなので、折々に楽しんでみたいですね。

伝統と創造の狭間をすり抜けようとしている日本映画の現在(とジャズ)

JBプレス掲載、ビデオジャーナリストの長野光による記事。

ここに”ハスミスクール”というキーワードが出てくる。

映画評論家の蓮實重彦(文芸評論家にしてフランス文学者・小説家)が1970、年代に立教大学一般教育部非常勤講師を務めていた時代の「映画表現論」という講義に端を発し、黒沢清青山真治、周防正行、万田邦敏、塩田明彦といった映画監督を輩出し、1975年からの東京大学での映画論ゼミでも中田秀夫、豊島圭介らを送り出したことを指して例えた言葉だ。

記事は、批評家の佐々木敦へのインタヴューとしてまとめられているが、2020年に他界したゴダールと青山真治を端緒に、巨星が壁ちてしまった今後の期待を濱口竜介に託す話の流れから、前述のハスミスクールが出てくる。

ハスミスクールにとっての重要な条件にシネフィルがあり、それを全うしなければハスミスクールの門はくぐれないとされているものだ。

シネフィルというのは「映画を死ぬほどたくさん見ていて、過去の映画に対する膨大な知識や分析を踏まえて自分の映画を撮る」という方法論を表わした言葉のようだ。

おそらく1970年代当時のポスト・ヌーヴェルヴァーグにおいて、映画の基礎的な知識も歴史も知らぬまま自身の感覚だけを頼りに映像を創ろうとする風潮に警鐘を鳴らす意味で、ハスミスクールが提唱することになったものだろう。

記事でも「公開されている小津安二郎の映画で1本でも見ていないものがあったらもう小津安二郎については語っちゃダメ」というシネフィルの“掟”を佐々木が引用している。

もちろんそれは目的ではなく あくまでも共有することによって生まれるはずの、世界をより広く大きなものにするための手段にすぎないはずだ。

ちなみに、シネフィルの風潮は1980年代のミニシアター文化を支える基盤となり、エンタテインメント化(あるいは軽桃浮薄化)によってポピュラライズしようとしていた流れと対立するようになる。

その後、「こんな感覚を共有できる人はどんどん減っている」という佐々木数の指摘が現状になる。

なお、蓮實重彦は「ごく普通に映画を見ていただきたい」(『見るレッスン 映画史特別講義』光文社新書、2020年12月刊)と、シネフィルの“掟”に関する齟齬をやんわりと修正している。

記事でも、「そういった歴史も教育のなかで残していく努力をする必要はあると思いますが、シネフィルの感覚から外れた世界でも日本の映画が成長していかなければならない」として、「濱口竜介君の映画は明らかにシネフィル的な作り方をしているけれど、そうでない人もちゃんと受容して感動できる作りになっている」から、映画「ドライブ・マイ・カー」はアカデミー賞に輝き、彼こそがマーベルを撮るべきと持論を展開していくところがハスミスケールっぽくもあり、興味深い。

後半は、映画におけるポリコレの波について触れ、「濱口竜介監督や深田晃司監督は日本の映画界でも良きポリティカル・コレクトネスを内面化して映画を撮るということをすごく自覚的にやっている人たち」とする佐々木敦に対して、長野光が表現に対する窮屈さを指摘。

佐々木は「悪を見えないようにする風潮があり、悪を描くことか悪であると受け取られる危険はあるかもしれない」と答える。

まとめ

大衆化と文化創造のジレンマに直面してきた歴史は、映画とジャズに共通する背景だと感じている。

シネフィルのような風潮は、ジャスで言えば1980年代の新伝承涙”と名付けられたビバップ~ハード・パップへの回帰運動に当たる。

そして現在、ロバート・グラスパーらの活動、つまり「ジャズの歴史を網羅したうえで、その過程を経ずに耳にする人にもちゃんと受容して感動できる作り」というものが、それに近いのではないだろうか。

ただそれが、より感覚的に支配されやすい音楽の場合、指標と言える地点にまで行き着けるのか──という不安があるというのが正直などころなのだが。(このテーマ続く)

ショパコン2021年開催で優勝したブルース・リウのインタヴュー記事がクールです

5年に1度開催される「ショパン国際ピアノコンクール」で優勝したカナダ人ピアニストのブルース・リウさんのインタヴュー記事。

前後編に分かれていて、読み応えがありました。

前半はショパコンの裏話やショパンの解釈などを忌憚なく話してくれています。

注目したのは後半。

師匠のダン・タイ・ソンさんからポップスはあまり聴かないほうがいいと言われているそうですが(それを彼も肯定している)、そのいっ法で「キース・ジャレットやオスカー・ピーターソンのようなジャズのミュージシャンたちは好きでよく聴いています」とも答えているのです。

このあたりを(ボクなら)もうちょっと掘り下げて聞きたかったところですが(30分ぐらいオーバーしても)。

きっと「ジャズに歩み寄りたい」というよりも、「ジャズを演奏している人がなにを見ているのか」を知りたいという欲求からなのかな、と。

そういう興味に対して“なにか”を与えてくれる人が、キース・ジャレットやオスカー・ピーターソンだったのかと想像すると、それをネタに原稿が書けそうな気がします。

なんだか落語の「しわい屋(始末の極意)」みたいなオチになっちゃってスミマセン(..)_

横浜みなとみらいに2万キャパの音楽アリーナ9月開業

おそらく東京オリンピックの改修・新築ムーブメントに乗っかったかたちで進められていたと思われる興業施設の竣工が、2023年秋ごろから盛んになってくるもようです。

Kアリーナは横浜みなとみらい21地区に登場する大規模複合施設で、地上9階とかなり大きなものが出現。

音楽に特化した施設となるようで、世界最大級の予定。

日産スタジアムや横浜アリーナとどう棲み分けていくのか注目したいところかな。

因みに“K”は担当デベロッパーのケン・コーポレーションの“K”なんでしょうね。

神戸にはジャズが似合うのか問題について考えてみる

読売新聞でこのところ「神戸とジャズ」に言及する文化部っぽい記事がいくつか目に止まったような気がしている。

具体的に何本とかリンクを探すつもりはないのであくまでも個人的な印象なのだけれど、おそらく観光の戦略として意図的に露出してきているのだと思っている。

この記事も“なぜ神戸?”と釣りタイトルを付けながら、本文ではほとんど答えていなかったりする。

まあ、井田一郎についての蘊蓄を傾けても、読者が喜ぶとは思えないので仕方のないことかもしれないが。

日本のジャズ事始めについては、神戸か横浜かという論争の検証をしたことがあり、確かに神戸に分があるという心証は得たものの、なにしろ資料が乏しかったりもするので、決定的ではなかった。明治時代の欧州航路で神戸も横浜もターミナル的な位置付けだったから、海外文化の窓口としてほぼ同時にジャズを受け容れ、ビジネス展開させていたのだと思う。

大阪に対する神戸と、東京に対する横浜は、双子のように文明開化の日本の新しいものを一時預かりするエリアとして機能していたんじゃないだろうか。

ただひとつ、神戸に分があるとすれば、確かにジャズが“似合う街”としての風景的なアドバンテージがあるところだろうか。神戸の、山を背負った“狭さ”が、ジャズというマニアックなテーマで周遊するのにちょうど良いし、それだけの“文化遺産”が記事でも紹介されているように、機能している。

クラファンもどうなるのか、神戸=ジャズの展開を楽しみにしたい。

“音楽のまちかわさき”からビッグなスターは誕生するのか⁉︎

Voicyで「ヤング日経」をチェックしていたら、日本経済新聞が報じた「ホリプロ、川崎にライブハウス 音楽のまちの両輪に」というニュースが目に止まりました。

このニュースはすでに2022年10月15日にリリースされていました。

株式会社ホリプロが、現在建設中の川崎の新しいライブハウスを来年2023年10月15日(日)にオープンすることを本日発表した。このライブハウスは「ホリプロ」として初のエンタメホールとなり、名称は新しい才能の開花という願いを込めた「SUPERNOVA」(読みはスペルノーヴァ)に決定した。

スペルノーヴァという500人規模のライブハウスなのですね。

スペルノーヴァとは、超新星。「大質量の恒星や近接連星系の白色矮星が起こす大規模な爆発(超新星爆発)によって輝く天体のこと」(超新星|Wikipedia

ホリプロがエンタメホールを手がけるとして、業界でも注目されていた事業が、いよいよ2023年10月15日にオープンするということです。

ホリプロの堀会長によれば、「一夜限りのイベントを行うような関わり方ではな」いとのこと。育成も含めてエンタメの発信地としての位置づけであることが期待されます。

立地も最高で、中央改札口から雨に濡れずに施設まで直行でき、屋上には芝生の広場も設置されるそうです。

多目的ホールがいくつかあるようですが、そのうちの大ホールは500人規模で、当初のホリプロの構想では場所は未定ながら1000人規模の演劇場を考えていたとか。そこへ川崎市の土地利用の話が舞い込んで、だったらとライブハウスへ路線編変更となったんですね。

ホリプロでは業務提携でAR(拡張現実)の新スポーツ「HADO」にも力を入れており、その“聖地”としての活用も視野に入れているみたいです。

隣接するミューザ川崎はクラシック音楽の拠点であるシンフォニーホールを有しています。

そこにもうひとつ、ポピュラー音楽の拠点ができることで、“音楽のまちかわさき”が質〜実〜ジャンルともに充実することも意味しているわけです。

その昔(1980年代後半から90年代前半)、日本のポップス界で一旗揚げようとしたバンドなどは、渋谷La.mamaになんとかエントリーしてファンを獲得して、通りの向こうにある渋公(旧・渋谷公会堂)でコンサートを開催、めざすは武道館──という“成功への階段”が(なんとなく)あったりしたのです。

“目標は具体的でなければ実現が難しい”のであれば、こうした具体的な“場”があることは、とても音楽エンタテインメント業界にとって期待できるものであると言えるはず。

川崎市、がんばってますね。

楽器の“事故”に対する備えについて

静岡で9月末に起きたあるコンサートでの事故。

発端は9月24日の午後1時ごろ。

静岡県裾野市民文化センターで、1時間後に開演するコンサートのために、シンフォニエッタ静岡の楽団員たちがステージ上で準備をしていました。

すると突然、頭上のスプリンクラーからドバドバと水が噴き出してきたというのです。

当然、楽団員たちは大慌て。

滑って骨折したり怪我を負ったりしただけでなく、大事な大事な楽器もびしょ濡れになるといつた、甚大な被害を被ってしまったのです。

問題は現場ではなく管理で起きていた?!

このニュースが私のところ、つまり静岡のローカルニュースではなくて全国へ発信されるようになったのは、10月中旬のこと。2週間ほど経ってからとなりますね。

なぜ時間が経ってから話題になっているかというと、スプリンクラーが原因不明で作動して怪我人も出てコンサートが中止になっちゃったというトピックだけではないエピソードがクローズアップされてきたから。

この事故を事件にした問題点は、こちらの記事で整理されているのでご参照ください。

当初、人的以外の被害は「市の所有する音響や照明機器など1億5000万円あまり」と報道されていました。

巨額の市の管理財産が毀損された事故(もしくは事件)という論調であったわけです。

そこに「ちょっと待った!」と異を唱えたのが、出演した楽団側だったのです。

これには、オーケストラと呼ばれる楽団なら、その所有する楽器の総額が10億円規模であり、初期報道ではそれについての心配がまったくと言っていいほど抜け落ちていました。

これは往々にして、コンサートの契約は主催者(このケースでは裾野市)と楽団が交わしたもので、楽団員個人が所有する楽器などに対して被害の補償は及ばない」とするパワハラ的なジョーシキが罷りとおっているからだそうです。

学生時代からン千万円の“名器を所有している人たちが“、プロの楽団員”であることを考えると、修理代や代替、元々の“名器”の毀損分なども加味して、この事故だか事件だかの被害が「1億5000万円あまり」なんかではなく、主催者がその補償をあまり深く考えていないことが見えてきたのですね。

なお、裾野市やホールの指定管理者(市の委託を受けた民間事業者)から音沙汰がないために、シンフォニエッタ静岡は10月13日に会見を開き、「泣き寝入りしないため」に被害状況を訴えています。

楽器の保険について

そういえば私も、高額な楽器の保険なんて考えてみたことがなかったなと思い、調べてみると、、、

「動産総合保険」という損害保険のなかに、「楽器特約付帯」があるものを見付けました。

で、内容を見てみると、ホルンが5,490円(年払い一括)で70万円、チェロが30,480円(年払い一括)で300万円という保険金が出るというもの。もちろん、損害の程度によって保険金は割り引かれ、過失があれは支払われないこともあります。

日本音楽家ユニオンの楽器保険はもっと安く(リーズナブルと言ったほうがいいのかな?)、おそらくこれは掛け捨てみたいにして“見舞金”的に利用されているんじゃないでしょうか。

いずれにしても、プロが大枚をはたいて所有している“名器”を補償できるような保険が見当たりませんでした。

まぁきっと、こういうハイレベルな商品は個別対応なんでしょうね。

広告代理業界3位ADK社長ら逮捕にまで広がる東京五輪汚職の報道と功罪を考える【ニュース拾い読み】

東京地検特捜部はきょう(10/19)、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)をADKと大会マスコットのぬいぐるいみを手がけた「サン・アロー」社から賄賂を受け取った疑いで再逮捕しました。
そして新たに、ADK社長の植野伸一容疑者(68)と元専務の久松茂治容疑者(63)、元本部長の多田俊明容疑者(60)を贈賄の疑いで逮捕しました。

ここまでボロボロと汚職の話が出てくると、
どれだけ高橋治之氏が組織委員会を支配していたのかと
別の疑問が湧いてきてしまうのですが。。。

よほど(集金面で)無能だった組織委員会が
彼を頼ったことによって大会がなんとか成功
したのだと考えると、罪は罪として
やはりオリンピックの自国開催というのは
なんだったのかを考え直さなければならない
と言わざるをえないでしょうね。

高橋氏も自分が経営するステーキ屋で接待させ
それをポケットに入れるぐらいなら
地検が動くまでもなく、彼は功労者として讃えられ、
接待が問題視されても税務署が動くぐらいで、
動いても高橋氏側ではなく組織委員会の経費の
使い方が問われるにとどまったはず。

彼の暴走(というかおんぶに抱っこ)を
とめられない構造が、イベント開催の功罪にも
関係していることが個人的には大問題だと思っています。

協賛を募るのはかなりハードルの高い
作業であることを、私も多少ながら
経験したことかあります。

特に大手スポンサーであればあるほど、
相手側の意志決定には工程数と時間がかかり、
成功率もかなり低い。

特にこの景気の悪い20年ぐらいでは、
財布の紐が堅いこともあって、
スポンサー頼みのイベントの苦しさは
想像以上だったと思います。

そこで考えなければならないのが、
「どうやってスポンサーの満足度をあげられるか」と
「どうやったらスポンサー頼みじゃない方法が可能か」です。

前者よりも後者のほうに、私は未来と可能性が
あるのではないかと思うのですが、いかがでしょう?

ボカロがグッドデザインのロングライフデザイン賞を受賞【ニュース拾い読み】

すでに2008年に“初音ミク”がグッドデザイン賞を受賞していましたが、
このたびVOCALOID(ボーカロイド)を対象に、
ロングライフデザイン賞が授与されました。

ボーカロイドとは「メロディと歌詞を入力すれば、
実際の人の歌声から収録したデータを用いて
ヴォーカルパートを制作可能な歌声合成技術および
その応用ソフトウェア」という定義。

「VOCALOIDが歌った音楽は、動画投稿サイトで
クリエイターとリスナーが交流する契機に、
そして多くの新しいクリエイターが音楽を発表する
後押しとなり、新しい音楽文化の形成に寄与した」
というのが、今回の受賞理由になっています。

ボーカロイドのどこが“デザイン”なのかについては、

  1. いつでもどこでも誰でも、気軽に歌声を楽曲に加えられる技術の創出
  2. 「人間の声に近づける」ことと「新しい音色や歌い方」ことへのあくなき追求
  3. 音楽シーンに社会的とも言える大きな変化と活気を与えた影響力

と説明されています。

これはつまり、社会の在り方を考えるということも
デザインの一種であり、そこにボーカロイドという
技術が効果的に係わっていることを評価した、
ということを示しているのだと思います。

ボーカロイドの開発は2000年にスタート。
2003年に初代が発表され、2004年にPC向け
パッケージが発売されました。

2018年の最新版VOCALOID5では、
商業的な利用も広く行なわれるようになり、
ポピュラー音楽界ではすでに
「なくてはならないアイテム」として
認知されている技術になっています。

もはやボカロは単なる「発生装置」にとどまらず、
全世界の音楽や文化に貢献するひとつのキャラクターとして
評価すべき段階を迎えていることが、今回のグッドデザイン賞
受賞で改めて明らかになったと言えますね。